中国画報—紫禁城の中での年越し

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紫禁城の中での年越し

2019-02-26      文=芸美    

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    万寿灯

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 春節は中国人の最も重要な伝統的祝日である。中国人が春節を過ごすときの春聯を貼る、餃子をつくる、春晩(中国版紅白歌合戦)を観るなどの習慣はすでに広く知られている。しかしもし数百年前の大清帝国の時代に戻ったとしたら、宮中ではどんな新年のお祝いをしていたのだろうか? 故宮博物院の「吉祥迎春――紫禁城の中での年越し」展では、時空を超えて、宮中の人がいかにしてこの重要な祝日を過ごしていたのかを見ることができる。この展覧会では900点近い文物が一挙に展示され、全面的に清代の宮中の年越し習俗を見て、聞いて、嗅ぐことができ、年越しムード満載の展示となっている。

 「古代にせよ、今日にせよ、宮中にせよ、民間にせよ、古きを送り新しきを迎えることが中国人の年越しの永久のテーマです。古代帝王は国家の象徴であり、宮廷での年越しには家と国が年を越すという二重の意義がありました」と、故宮博物院の翔院長は紹介する。今回の展示の中では、普段の生活で見慣れた情景やモノを見ることも、新しい珍しい発見をすることもあるだろう。

 

紫禁城の中での年末

 春節期間中、家々の戸には福の字が貼られるが、宮中も例外ではない。清の宮中では121日、皇帝が最初の福の字を専用の筆で書き、乾清宮に貼り、さらに十枚余りを他の場所に貼る。今回の展示では清朝の康熙、雍正、乾隆、嘉慶、道光の5人の皇帝の福の字が展示され、「五福臨門」と名付けられている。

 「福」の字以外、春聯や春条(めでたい字句を記したもの。対になったものが春聯)・門神も至る所に見られた。さらにさまざまな材質・形・装飾・色の紫禁城の宮灯がある。特に清の乾清宮の赤い階段の上に高々と大きな宮灯が立てられ、これは故宮でこの200年近く消失していた「天灯」と「万寿灯」である。「天灯」と「万寿灯」を立てるのはもともと清代初期・中期の年越しの際に盛大に行われた活動の一つで、それを立ててから撤去するまで、のべ8000人あまりが動員された。道光二十年(1840年)に皇帝によって取り止められ、この景観は歴史から消え、関係文物も各所に分散してしまい、しだいに忘れ去られていった。幸運なことに故宮の係員が文献の中から「天灯」と「万寿灯」の使用方法、歴史沿革、それぞれの部分の詳しいサイズを調べ出すことができ、さらに倉庫の中から灯身の模型やサンプル、軸の実物などを探し当て、それをもとに復元に成功し、康熙・乾隆時代の盛大な風景を再現することができた。

 年越しの際、皇帝が食べた食事も陳列方式で復元され、宴会で使われた皇帝用のテーブルやセッティングされた食器は乾隆四十八年(1783)年の食事に関する文献に記載されていたものを復元したもので、100余りの文物が用いられ、極めて壮観である。宮中ではさらに「新年音楽祭」も開かれ、古代における最高規格の皇室楽団である中和韶楽についての展示がなされている。年越しの際、王侯・大臣たちは太和殿で、家族は乾清宮で皇帝に拝謁するときにはすべて楽器演奏が必要とされた。中和韶楽は18種の楽器が使われ、今回の展示では特色ある編鐘・編磬・建鼓・柷、敔、麾という6種の楽器が復元・陳列されている。

 

温かみのある文物

 かつては皇帝の一挙手一投足が国政にかかわるものであった。年越しの時には封印儀式があり、それは休息を意味していたが、政務から逃れられるわけではなかった。展示では明窓開筆の情景が復元され、これは皇帝が新年に行う初めての書写儀式であった。皇帝は万年青筆で吉祥の言葉を書いて天下庶民の幸福を祈った。それは書き終わると黄色い箱の中に封入され、誰も開けることができなかった。今日に至って初めてその本当の内容を見ることができるのである。

 春節は中国人にとって一家団欒のお祭りであり、カーニバルでもある。高貴な皇帝もこの時期にはリラックスして楽しんだ。展示ケースの中には『氷嬉図』という128日の太液池での氷遊びの情景が描かれた絵がある。これ以外にも芝居鑑賞が重要な年越しの娯楽の一つであった。展示品の中には8着の精美な芝居衣装があり、貴重な戯曲服装資料となっている。さらに舞台や楽器、台本、劇画など、当時の芝居鑑賞の熱気を感じることのできる展示物もある。

 展覧には動画、映像、音楽、投影、香料、赤外線センサーなどさまざまな手段が用いられ、さらにインタラクティブ体験もでき、乾清宮には「宮中の年越し」デジタル没入型体験館が設けられ、紫禁城に伝承された豊富な年越し行事・文化をデジタル技術、バーチャル映像により再現し、科学技術により100年前の祝日の真っ最中の紫禁城を表現するなど、「宮中の年越し」のすべてを疑似体験できる。

 さらに現代技術を使って清代の宮廷の春節の様子が復元され、当時の宮中の様子や人々の生活場面が再現されている。文物はもはや一つ一つの個体ではなく、完全な歴史を構成する「生命」となっている。さらに復元された歴史的情景の中から人々は文物の温かみを感じることができ、何千何百年にもわたる中国人の新年に対する祈り、祖国への祝福、生活の希望を感じることができる。

 故宮博物院の任万平副院長は、「今回の展示は、実は私たち博物館人員の一種の反省なのです。われわれはふだん管理のため、文物をあまりに細かく分類し、多くの文物はすべて分類され展示されますが、そうすることによって文物はその本来あるべき歴史的場面から引き離されてしまいます。現在、みんなが文物は自分とは関係のないものだと思っているかもしれませんが、当時は人々の生活の一部であり、これらはずっと文物として隔離されたものだったわけではなく、相互に関係し、生きていたものだったのです。今回、われわれは文物をもとの歴史情景の中に戻し、展示してみせたのです」と語る。

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紫禁城の中での年越し

2019-02-26      文=芸美      

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    万寿灯

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 春節は中国人の最も重要な伝統的祝日である。中国人が春節を過ごすときの春聯を貼る、餃子をつくる、春晩(中国版紅白歌合戦)を観るなどの習慣はすでに広く知られている。しかしもし数百年前の大清帝国の時代に戻ったとしたら、宮中ではどんな新年のお祝いをしていたのだろうか? 故宮博物院の「吉祥迎春――紫禁城の中での年越し」展では、時空を超えて、宮中の人がいかにしてこの重要な祝日を過ごしていたのかを見ることができる。この展覧会では900点近い文物が一挙に展示され、全面的に清代の宮中の年越し習俗を見て、聞いて、嗅ぐことができ、年越しムード満載の展示となっている。

 「古代にせよ、今日にせよ、宮中にせよ、民間にせよ、古きを送り新しきを迎えることが中国人の年越しの永久のテーマです。古代帝王は国家の象徴であり、宮廷での年越しには家と国が年を越すという二重の意義がありました」と、故宮博物院の翔院長は紹介する。今回の展示の中では、普段の生活で見慣れた情景やモノを見ることも、新しい珍しい発見をすることもあるだろう。

 

紫禁城の中での年末

 春節期間中、家々の戸には福の字が貼られるが、宮中も例外ではない。清の宮中では121日、皇帝が最初の福の字を専用の筆で書き、乾清宮に貼り、さらに十枚余りを他の場所に貼る。今回の展示では清朝の康熙、雍正、乾隆、嘉慶、道光の5人の皇帝の福の字が展示され、「五福臨門」と名付けられている。

 「福」の字以外、春聯や春条(めでたい字句を記したもの。対になったものが春聯)・門神も至る所に見られた。さらにさまざまな材質・形・装飾・色の紫禁城の宮灯がある。特に清の乾清宮の赤い階段の上に高々と大きな宮灯が立てられ、これは故宮でこの200年近く消失していた「天灯」と「万寿灯」である。「天灯」と「万寿灯」を立てるのはもともと清代初期・中期の年越しの際に盛大に行われた活動の一つで、それを立ててから撤去するまで、のべ8000人あまりが動員された。道光二十年(1840年)に皇帝によって取り止められ、この景観は歴史から消え、関係文物も各所に分散してしまい、しだいに忘れ去られていった。幸運なことに故宮の係員が文献の中から「天灯」と「万寿灯」の使用方法、歴史沿革、それぞれの部分の詳しいサイズを調べ出すことができ、さらに倉庫の中から灯身の模型やサンプル、軸の実物などを探し当て、それをもとに復元に成功し、康熙・乾隆時代の盛大な風景を再現することができた。

 年越しの際、皇帝が食べた食事も陳列方式で復元され、宴会で使われた皇帝用のテーブルやセッティングされた食器は乾隆四十八年(1783)年の食事に関する文献に記載されていたものを復元したもので、100余りの文物が用いられ、極めて壮観である。宮中ではさらに「新年音楽祭」も開かれ、古代における最高規格の皇室楽団である中和韶楽についての展示がなされている。年越しの際、王侯・大臣たちは太和殿で、家族は乾清宮で皇帝に拝謁するときにはすべて楽器演奏が必要とされた。中和韶楽は18種の楽器が使われ、今回の展示では特色ある編鐘・編磬・建鼓・柷、敔、麾という6種の楽器が復元・陳列されている。

 

温かみのある文物

 かつては皇帝の一挙手一投足が国政にかかわるものであった。年越しの時には封印儀式があり、それは休息を意味していたが、政務から逃れられるわけではなかった。展示では明窓開筆の情景が復元され、これは皇帝が新年に行う初めての書写儀式であった。皇帝は万年青筆で吉祥の言葉を書いて天下庶民の幸福を祈った。それは書き終わると黄色い箱の中に封入され、誰も開けることができなかった。今日に至って初めてその本当の内容を見ることができるのである。

 春節は中国人にとって一家団欒のお祭りであり、カーニバルでもある。高貴な皇帝もこの時期にはリラックスして楽しんだ。展示ケースの中には『氷嬉図』という128日の太液池での氷遊びの情景が描かれた絵がある。これ以外にも芝居鑑賞が重要な年越しの娯楽の一つであった。展示品の中には8着の精美な芝居衣装があり、貴重な戯曲服装資料となっている。さらに舞台や楽器、台本、劇画など、当時の芝居鑑賞の熱気を感じることのできる展示物もある。

 展覧には動画、映像、音楽、投影、香料、赤外線センサーなどさまざまな手段が用いられ、さらにインタラクティブ体験もでき、乾清宮には「宮中の年越し」デジタル没入型体験館が設けられ、紫禁城に伝承された豊富な年越し行事・文化をデジタル技術、バーチャル映像により再現し、科学技術により100年前の祝日の真っ最中の紫禁城を表現するなど、「宮中の年越し」のすべてを疑似体験できる。

 さらに現代技術を使って清代の宮廷の春節の様子が復元され、当時の宮中の様子や人々の生活場面が再現されている。文物はもはや一つ一つの個体ではなく、完全な歴史を構成する「生命」となっている。さらに復元された歴史的情景の中から人々は文物の温かみを感じることができ、何千何百年にもわたる中国人の新年に対する祈り、祖国への祝福、生活の希望を感じることができる。

 故宮博物院の任万平副院長は、「今回の展示は、実は私たち博物館人員の一種の反省なのです。われわれはふだん管理のため、文物をあまりに細かく分類し、多くの文物はすべて分類され展示されますが、そうすることによって文物はその本来あるべき歴史的場面から引き離されてしまいます。現在、みんなが文物は自分とは関係のないものだと思っているかもしれませんが、当時は人々の生活の一部であり、これらはずっと文物として隔離されたものだったわけではなく、相互に関係し、生きていたものだったのです。今回、われわれは文物をもとの歴史情景の中に戻し、展示してみせたのです」と語る。


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