中国画報—知識はお金で買えるのか

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知識はお金で買えるのか

2018-02-01      張雪=文    

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    2017年10月、Igetget(「得到」)は北京地下鉄4号線に可聴ブックをリリースした。

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    2017年10月、Igetget(「得到」)は北京地下鉄4号線に可聴ブックコーナーを開通した。

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    2017年11月10日、「知乎(中国の著名Q&Aサイト)」がリリースした有料Q&Aアプリの体験博物館。

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 2016514日、知乎(中国の著名QAサイト)は、有料QAアプリの「知乎live」をリリースし、この「有料知識アプリ」のレッテルを張られたモバイルアプリは、今にいたるまで一年半運営されており、「分答」「得到」「ヒマラヤFM」などのその他の有料知識アプリも出現して、中国のインターネットユーザーの無料で当たり前という思考を変え、ネットワーク消費の新たな選択となっている。

 

誰が知識にお金を払うのか

 エンジェル投資(創業間もない企業専門の投資)家の李笑来の「財務の自由への道」がアプリ「得到」の最も人気ある講座の一つとなり、20167月にスタートして以来、その購読数は18万を超え、薛兆豊北京大学経済学教授の「薛兆豊の経済学教室」に次ぐものとなっている。この「億万長者が、手取り足取りあなたの価値の上げ方を指導」という内容が多くの財政的自由を求めるホワイトカラーを引き付け、「将来的に財産を貯める地図を入手」「財務の自由を実現させる方法と手段を探す」など、極めて誘惑に満ちた言葉がお金持ちになる希望を人々に与えている。

 この読み物の人気が有料知識アプリの急速な発展をもたらし、知識シェアに対する課金がインターネット経済の新たな注目点となっている。「中国のシェア経済発展レポート2017」によると、現在、知識シェア市場はすでにある程度の規模となっている。大まかな見積もりでは、2016年の知識分野の市場交易額は約610億元で、前年同期比205%増、利用者数は約3億人とのことである。

 20171213日、中国最大のインターネット音楽・動画サイトのヒマラヤFMが、第2回「123知識カーニバル」を行い、ユーザーの消費総額が17000万元となった。とくに1990年代生まれの若者がこのイベントの主力となり、売り上げ額に7割近い貢献をし、彼らの間では個人啓蒙類、ビジネス・財テク関連のコンテンツが特に人気だった。

 この「知識カーニバル」の背後には、学習の功利化傾向が明らかである。「企鵝智酷」が1736人のネットユーザーにオンライン調査を行い、性別などの切り口で抽出調査をしたところ、おもしろいデータが発見できた。55.3%のネットユーザーが有料知識アプリを利用したことがあり、その満足度は38%である。有料知識アプリの利用動機は、「ある対象専門知識・見解を得ること(74.2%)」、「時間と精力コストの節約(50.8%)」、「経験を積んで自分の能力をアップさせること(47.3%)」であった。「作業効率あるいは所得を向上させる知識と経験を得るため」という項目がもっとも一般的で、63.3%の人がお金を支払うのを躊躇しないとしている。

 学習者が財務の自由を手に入れたかはわからないが、李笑来らネットで人気の講師たちはがっぽりと稼いでいる。「財務の自由への道」を例にとると、毎年199元の価格で18万の購読数を獲得しているとすると、3500万元の所得があることになり、李先生の一年の収入は「財務の自由」を得るには何の不自由もないだろう。

 

「知識」と「知る」の違い

 有料知識アプリの増加は、人々の学習ルートを増やすと同時に、知識市場価値をも開拓するのは確かだが、有料知識アプリの「ファストフード化」傾向には疑問が呈されつつある。

 知識アプリを購入すれば知識を得ることができるのか。ある微信(中国版LINE)公式アカウントの作者が自らのエピソードを紹介しているが、それによると、20161月~20176月に、彼は67回の講義や授業を購入し、作文教室にも、「早寝早起き通勤族」にも参加し、こうした「知識」に合計5000元を費やしたものの、知識として大きな収穫はなかったように感じている。

 有料知識アプリを俯瞰すると、ほとんどすべての製品が3つの特質を持っていることに気づく。それは、「素早く、時間をとらず、先生の言うようにすれば先生のように成功できる」というものだ。しかし一つひとつきれいに包装された有料知識商品は、知識の宴のように見えるが、その実は「知識ファストフード」により近く、あるネットユーザーは「あなたがお金を使っているのは『知るため』であり、知識のためではない」とするどく批判している。

 さらに一部の学者が指摘するように、長期的に破片化した知識を受け入れていると記憶力の低下につながり、問題の簡略化・片面化傾向が進み、思考と視野が狭くなり、複雑な試行や独立思考が難しくなる。

 

「知識への焦燥」のカンフル

 現在の終身学習、全民学習の波の中で、経済の高速発展、社会の巨大な変化が不確実性を引き起こし、こうした未来に対する不確実性が知識に対する焦燥を呼び起こしている。

 経済が高速に発展し、新科学技術が次から次へと生まれる中で、人々は社会変革に巻き込まれながら進んでいき、怠ける勇気はとてもじゃないけど持てない。アプリ「得」が提起する「終身学習の大学の創造」というスローガンは、小さな鞭のように人々の神経を打ち続け、ますます多くの人がのんびりしている間に時代に置き去られるのを恐れている。

 「知識への焦りと本領的パニック」がこの時代の人々の共通した病となり、ますます多くの人が新しい知識、新しい情報、新しい認識の変化に一種の欠乏感を抱いており、自分が社会や他人に取り残されることを恐れ、一種の心理的恐怖を抱いている。「私は人に追い抜かされたくはないし、さらには落ちこぼれたくない。唯一出来るのはこの時代についてゆくことであり、さらに素早く効果的に吸収と学習を行うことだ」

 知識への焦燥は有料知識アプリに発展の土壌を提供し、どの有料知識アプリもすべて「一刀両断に説明」を売りとし、業界の「大物」があなたに素早く成長するチャンスやエリート層に仲間入りするチャンスを与えさせると謳っている。あなたとエリートとの差はちょっとした有料知識製品だけの違いのように感じさせるのだ。そのため人々は次々とコラムを購入し、講義やQAを購入し、もし自分のスマホに有料知識アプリがなければ落ちこぼれたかのように感じる。

 個人的立場から言うと、有料知識アプリは単にスタートにすぎない。昔から知識は毎日コツコツと続けてゆくことによって習得される。時代がどんな変化を遂げたとしても、知識の蓄積と知恵の増加には多くの時間と精力が必要とされ、有料知識アプリだけではまったく足りるものではないのだ。

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知識はお金で買えるのか

2018-02-01      張雪=文      

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    2017年10月、Igetget(「得到」)は北京地下鉄4号線に可聴ブックをリリースした。

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    2017年10月、Igetget(「得到」)は北京地下鉄4号線に可聴ブックコーナーを開通した。

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    2017年11月10日、「知乎(中国の著名Q&Aサイト)」がリリースした有料Q&Aアプリの体験博物館。

 

 

 

 2016514日、知乎(中国の著名QAサイト)は、有料QAアプリの「知乎live」をリリースし、この「有料知識アプリ」のレッテルを張られたモバイルアプリは、今にいたるまで一年半運営されており、「分答」「得到」「ヒマラヤFM」などのその他の有料知識アプリも出現して、中国のインターネットユーザーの無料で当たり前という思考を変え、ネットワーク消費の新たな選択となっている。

 

誰が知識にお金を払うのか

 エンジェル投資(創業間もない企業専門の投資)家の李笑来の「財務の自由への道」がアプリ「得到」の最も人気ある講座の一つとなり、20167月にスタートして以来、その購読数は18万を超え、薛兆豊北京大学経済学教授の「薛兆豊の経済学教室」に次ぐものとなっている。この「億万長者が、手取り足取りあなたの価値の上げ方を指導」という内容が多くの財政的自由を求めるホワイトカラーを引き付け、「将来的に財産を貯める地図を入手」「財務の自由を実現させる方法と手段を探す」など、極めて誘惑に満ちた言葉がお金持ちになる希望を人々に与えている。

 この読み物の人気が有料知識アプリの急速な発展をもたらし、知識シェアに対する課金がインターネット経済の新たな注目点となっている。「中国のシェア経済発展レポート2017」によると、現在、知識シェア市場はすでにある程度の規模となっている。大まかな見積もりでは、2016年の知識分野の市場交易額は約610億元で、前年同期比205%増、利用者数は約3億人とのことである。

 20171213日、中国最大のインターネット音楽・動画サイトのヒマラヤFMが、第2回「123知識カーニバル」を行い、ユーザーの消費総額が17000万元となった。とくに1990年代生まれの若者がこのイベントの主力となり、売り上げ額に7割近い貢献をし、彼らの間では個人啓蒙類、ビジネス・財テク関連のコンテンツが特に人気だった。

 この「知識カーニバル」の背後には、学習の功利化傾向が明らかである。「企鵝智酷」が1736人のネットユーザーにオンライン調査を行い、性別などの切り口で抽出調査をしたところ、おもしろいデータが発見できた。55.3%のネットユーザーが有料知識アプリを利用したことがあり、その満足度は38%である。有料知識アプリの利用動機は、「ある対象専門知識・見解を得ること(74.2%)」、「時間と精力コストの節約(50.8%)」、「経験を積んで自分の能力をアップさせること(47.3%)」であった。「作業効率あるいは所得を向上させる知識と経験を得るため」という項目がもっとも一般的で、63.3%の人がお金を支払うのを躊躇しないとしている。

 学習者が財務の自由を手に入れたかはわからないが、李笑来らネットで人気の講師たちはがっぽりと稼いでいる。「財務の自由への道」を例にとると、毎年199元の価格で18万の購読数を獲得しているとすると、3500万元の所得があることになり、李先生の一年の収入は「財務の自由」を得るには何の不自由もないだろう。

 

「知識」と「知る」の違い

 有料知識アプリの増加は、人々の学習ルートを増やすと同時に、知識市場価値をも開拓するのは確かだが、有料知識アプリの「ファストフード化」傾向には疑問が呈されつつある。

 知識アプリを購入すれば知識を得ることができるのか。ある微信(中国版LINE)公式アカウントの作者が自らのエピソードを紹介しているが、それによると、20161月~20176月に、彼は67回の講義や授業を購入し、作文教室にも、「早寝早起き通勤族」にも参加し、こうした「知識」に合計5000元を費やしたものの、知識として大きな収穫はなかったように感じている。

 有料知識アプリを俯瞰すると、ほとんどすべての製品が3つの特質を持っていることに気づく。それは、「素早く、時間をとらず、先生の言うようにすれば先生のように成功できる」というものだ。しかし一つひとつきれいに包装された有料知識商品は、知識の宴のように見えるが、その実は「知識ファストフード」により近く、あるネットユーザーは「あなたがお金を使っているのは『知るため』であり、知識のためではない」とするどく批判している。

 さらに一部の学者が指摘するように、長期的に破片化した知識を受け入れていると記憶力の低下につながり、問題の簡略化・片面化傾向が進み、思考と視野が狭くなり、複雑な試行や独立思考が難しくなる。

 

「知識への焦燥」のカンフル

 現在の終身学習、全民学習の波の中で、経済の高速発展、社会の巨大な変化が不確実性を引き起こし、こうした未来に対する不確実性が知識に対する焦燥を呼び起こしている。

 経済が高速に発展し、新科学技術が次から次へと生まれる中で、人々は社会変革に巻き込まれながら進んでいき、怠ける勇気はとてもじゃないけど持てない。アプリ「得」が提起する「終身学習の大学の創造」というスローガンは、小さな鞭のように人々の神経を打ち続け、ますます多くの人がのんびりしている間に時代に置き去られるのを恐れている。

 「知識への焦りと本領的パニック」がこの時代の人々の共通した病となり、ますます多くの人が新しい知識、新しい情報、新しい認識の変化に一種の欠乏感を抱いており、自分が社会や他人に取り残されることを恐れ、一種の心理的恐怖を抱いている。「私は人に追い抜かされたくはないし、さらには落ちこぼれたくない。唯一出来るのはこの時代についてゆくことであり、さらに素早く効果的に吸収と学習を行うことだ」

 知識への焦燥は有料知識アプリに発展の土壌を提供し、どの有料知識アプリもすべて「一刀両断に説明」を売りとし、業界の「大物」があなたに素早く成長するチャンスやエリート層に仲間入りするチャンスを与えさせると謳っている。あなたとエリートとの差はちょっとした有料知識製品だけの違いのように感じさせるのだ。そのため人々は次々とコラムを購入し、講義やQAを購入し、もし自分のスマホに有料知識アプリがなければ落ちこぼれたかのように感じる。

 個人的立場から言うと、有料知識アプリは単にスタートにすぎない。昔から知識は毎日コツコツと続けてゆくことによって習得される。時代がどんな変化を遂げたとしても、知識の蓄積と知恵の増加には多くの時間と精力が必要とされ、有料知識アプリだけではまったく足りるものではないのだ。


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