中国画報—羅湖医療改革——全科診療医の価値を発揮する

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羅湖医療改革——全科診療医の価値を発揮する

2018-09-05      文=汐落    

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  中国共産党第19代表大会で健康中国戦略の実施が提出され、中でも末端医療衛生サービスシステムの強化と全科診療医陣の建設が強調されている。国は合理的医療資源の分配により、診療効率を向上し、患者の総合大病院に対する過度の依存を減らし、患者の診療体験を向上させたいと希望している。

 2018年年初、中国政府は意見を発表して、資格をもつ全科診療医の育成を急ぎ、ホームドクターの契約サービスを推進しなければならないとした。全科診療医は比較的総合的な複合型臨床医学人材のことで、主に末端でよくみられる病気、多発する病気の診療を担い、転院や予防保険、患者のリハビリや慢性病管理などの一体化サービスを担い、個人や家庭のために連続的・総合的・個人的な医療衛生サービスを提供するものである。国家衛生健康委員会基層司が提供したデータによれば、中国の末端全科診療医は現状20万人足らずで、2030万人の不足がみられるという。

 2015年、深圳羅湖社区(コミュニティ)が末端医療改革テスト地点となり、全科診療医制度の試行を始めた。今ではすでに全科診療医建設方面で初歩的な効果を得て、一定の経験を積んでいる。

 

住民健康の守護者

 深圳羅湖文華社区(コミュニティ)の常住人口は25000人で、人口の流動性が高く、このコミュニティのリハビリ病院には10名の全科診療医と12名の看護婦がいる。呉天竜先生はこれら全科一診療室の医師である。

 住民の許燕燕さんは呉先生を知る前、多くの深圳の裕福な家庭のように、問題が起きると医療施設が整い、比較的忍耐力のある医者のいる香港に行って病気を診てもらっていた。6、7年前、2歳になる長男の咳がとまらず、香港の私立病院に行って何度も診てもらっても、まったくよくならなかった。

 「ここに呉先生が来たとき、最初はこんなに若いなんてと少し不安でした」。しかし、呉先生が出した薬で、3日後に咳はとまった。2年後、下の子どもが咳をしはじめたとき、呉先生は便利な薬を出してくれた。「小さな6グラム入りの小瓶で、とても安かったです」と許燕燕さんは語る。呉先生を知ってからというもの、毎年の家庭の医薬費がかなり節約できたという。

 そのときはまだ、ホームドクター契約制度ははじまっていなかったが、許燕燕さんは深圳にいようが香港にいようが、子どもをつれて旅行に行った時であろうが、具合が悪くなるといつでも呉先生に電話をした。「彼は電話で細かく子どもの症状を聞いてくれます。私の家族についてすべて彼はよく知っていて、身長体重もすべてはっきりと把握しています」。

 専門医に比べ、全科診療医は疾病そのものだけでなく、その人自身にも注意を注いでくれる。

 「患者の考えをうち破ることなく、その人の考えをすべて明らかにしてもらい、問題をすべてさらけだしてから、具体的に整理していきます。私は自分が探偵のようだと良く思います」と深圳羅湖社区健康サービスセンターで働く張瀟瀟先生は言う。彼女からすると、全科診療医と住民の意思疎通方法は、専科医師とは完全に異なる。

 少し前、腹がしょっちゅう痛くなると言って一人の男の子が張先生のところにきた。「専科医師ならば大半は胃痛について考え、胃鏡を使った検査をするか、ピロリ菌の検査をするでしょう」。

 彼女が訊ねたところ、この男の子の痛みは規則的で、毎朝痛くなり、昼間と夜は大丈夫で、週末も痛くないという。おしゃべりを続けると、この子は中学に上がったばかりで、学校へ通う距離が遠くなり、朝に朝食を食べる時間もなく、いつでも慌てふためいて学校に行っているという。お腹が痛くなっても一時間休めばすぐによくなるそうだ。

 張先生の診断は、短期的な腹部けいれんで、男の子に毎朝少し早く起きて、きちんと朝ごはんを食べるようにと言った。先生のアドバイスを守ると、男の子の症状はもう起こらなくなった。二回目の診察のときはおしゃべりが主で、これ以外の2度の診察もその他の検査や治療は必要なかった。

 診察のとき、患者を知り、交流すれば、薬を減らし、検査などの診察方法を減らすことができる。張先生は、これこそが全科診療医と専科医師の最大の違いだと考えている。

 

羅湖の経験

 新医療改革実施の3年前まで、張瀟瀟先生は仕事に達成感を感じることはほとんどなかった。当時、深圳では地方クラスの病院であれ、コミュニティのリバビリセンターであれ、医療資源は省都や広州、ましてや北京・上海とは比べ物にならなかった。患者の多くが上海や広州、香港、ひいては東南アジア地域に流れて行った。深圳は外部の人から「医療砂漠」ともいわれるほどであった。

 新医療改革が顕著な分水嶺となった。2015年、深圳の羅湖がテスト地点とされ、医療衛生サービスを「末端を重点に」「健康を中心に」転換し、5つの病院と23のコミュニティ・リハビリセンターを統合して、羅湖医院集団を成立させた。羅湖医院集団の孫喜琢院長と彼の医療改革チームは、住民たちが徒歩15分圏内で優れた効果的な日常健康サービスを入手できるように努力し、病院は予防保険と健康管理に力を注ぎ、「住民を病気にさせず、入院させず、負担を減らし、病気診察を便利に」した。

 「健康な羅湖」は羅湖区が自主開発し、どの医師も使っているアプリである。オンライン予約、診察費支払い、医者との契約やコンサルティング、健康管理などの機能があり、すべての集団内の病院情報が集まっている。医師は病気に対しクラス別管理を行い、定期回診のように随時住民の健康情報を知り、一部の疾病を早期発見・早期治療するため、根本から住民の罹患率を減らすことができる。また、地方病院やコミュニティの診察所では転院が必要となるが、患者のあらゆるデータがすぐに取り出せ、シェアできるので、患者が転院したときに再び受付する必要がなくなる。

 同時に羅湖では、医療保健基金で「総額管理し、残りは貯めて置く」方法をとり、住民は自由に医療機関を選択し、医療保健局は前年に羅湖医院集団と契約した保険加入者の人数を支払い単位として、一人当たりで支払いを行う。すべての集団契約をおこなった保険加入者の医療保健費用が一つの基数となり、さらに一定の深圳の年間一人当たり平均医療保健の上昇率を加える。このふたつを加えた合計の全体が羅湖医院集団にあらかじめ支払われ、これはまた「パッケージ支払い」と呼ばれる。年度末決算のとき、赤字は集団自身が負担し、もし利益が出れば、すべて集団のものとなる。

 こうした決算方式では、羅湖医院集団が利益の最大化を狙いたければ、2種類の方法しかない。一つは集団が保健契約した加入住民の健康を保証し、住民を病気にしないようにし、病院でお金をなるべく使わせないこと。もう一つは、コミュニティ・リハビリ病院のサービスを通してできるだけ多くの人と集団が契約を結ぶことである。

 孫喜琢院長からすれば、現在全科診療医学はまだ一つの完全な学科・評価システムが形づくられておらず、さらに複雑な公共衛生との業務の重複があり、それが末端全科医療に影響を与えている。「たとえば、子どもに手洗いを教えるといったような多くの全民健康教育はCDV(疾病コントロールセンター)が受け持つことができ、そうすれば、われわれはおもに慢性病や基本公衆衛生の仕事に専念できます」。

 「われわれは『羅湖モデル』と呼ぶことができるとは思いません。これは改革の一種に過ぎません」と孫院長は言う。「将来的にはより多くの健康保険の種類がつくられ、末端やコミュニティを強化し、一部の大病院が本当の意味で教学と科学研究あるいは急病・重症患者治療の職能を発揮することを望んでいます。そうすれば我が国の医療サービスシステムは比較的理想的なものとなるでしょう」と語った。

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羅湖医療改革——全科診療医の価値を発揮する

2018-09-05      文=汐落      

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  中国共産党第19代表大会で健康中国戦略の実施が提出され、中でも末端医療衛生サービスシステムの強化と全科診療医陣の建設が強調されている。国は合理的医療資源の分配により、診療効率を向上し、患者の総合大病院に対する過度の依存を減らし、患者の診療体験を向上させたいと希望している。

 2018年年初、中国政府は意見を発表して、資格をもつ全科診療医の育成を急ぎ、ホームドクターの契約サービスを推進しなければならないとした。全科診療医は比較的総合的な複合型臨床医学人材のことで、主に末端でよくみられる病気、多発する病気の診療を担い、転院や予防保険、患者のリハビリや慢性病管理などの一体化サービスを担い、個人や家庭のために連続的・総合的・個人的な医療衛生サービスを提供するものである。国家衛生健康委員会基層司が提供したデータによれば、中国の末端全科診療医は現状20万人足らずで、2030万人の不足がみられるという。

 2015年、深圳羅湖社区(コミュニティ)が末端医療改革テスト地点となり、全科診療医制度の試行を始めた。今ではすでに全科診療医建設方面で初歩的な効果を得て、一定の経験を積んでいる。

 

住民健康の守護者

 深圳羅湖文華社区(コミュニティ)の常住人口は25000人で、人口の流動性が高く、このコミュニティのリハビリ病院には10名の全科診療医と12名の看護婦がいる。呉天竜先生はこれら全科一診療室の医師である。

 住民の許燕燕さんは呉先生を知る前、多くの深圳の裕福な家庭のように、問題が起きると医療施設が整い、比較的忍耐力のある医者のいる香港に行って病気を診てもらっていた。6、7年前、2歳になる長男の咳がとまらず、香港の私立病院に行って何度も診てもらっても、まったくよくならなかった。

 「ここに呉先生が来たとき、最初はこんなに若いなんてと少し不安でした」。しかし、呉先生が出した薬で、3日後に咳はとまった。2年後、下の子どもが咳をしはじめたとき、呉先生は便利な薬を出してくれた。「小さな6グラム入りの小瓶で、とても安かったです」と許燕燕さんは語る。呉先生を知ってからというもの、毎年の家庭の医薬費がかなり節約できたという。

 そのときはまだ、ホームドクター契約制度ははじまっていなかったが、許燕燕さんは深圳にいようが香港にいようが、子どもをつれて旅行に行った時であろうが、具合が悪くなるといつでも呉先生に電話をした。「彼は電話で細かく子どもの症状を聞いてくれます。私の家族についてすべて彼はよく知っていて、身長体重もすべてはっきりと把握しています」。

 専門医に比べ、全科診療医は疾病そのものだけでなく、その人自身にも注意を注いでくれる。

 「患者の考えをうち破ることなく、その人の考えをすべて明らかにしてもらい、問題をすべてさらけだしてから、具体的に整理していきます。私は自分が探偵のようだと良く思います」と深圳羅湖社区健康サービスセンターで働く張瀟瀟先生は言う。彼女からすると、全科診療医と住民の意思疎通方法は、専科医師とは完全に異なる。

 少し前、腹がしょっちゅう痛くなると言って一人の男の子が張先生のところにきた。「専科医師ならば大半は胃痛について考え、胃鏡を使った検査をするか、ピロリ菌の検査をするでしょう」。

 彼女が訊ねたところ、この男の子の痛みは規則的で、毎朝痛くなり、昼間と夜は大丈夫で、週末も痛くないという。おしゃべりを続けると、この子は中学に上がったばかりで、学校へ通う距離が遠くなり、朝に朝食を食べる時間もなく、いつでも慌てふためいて学校に行っているという。お腹が痛くなっても一時間休めばすぐによくなるそうだ。

 張先生の診断は、短期的な腹部けいれんで、男の子に毎朝少し早く起きて、きちんと朝ごはんを食べるようにと言った。先生のアドバイスを守ると、男の子の症状はもう起こらなくなった。二回目の診察のときはおしゃべりが主で、これ以外の2度の診察もその他の検査や治療は必要なかった。

 診察のとき、患者を知り、交流すれば、薬を減らし、検査などの診察方法を減らすことができる。張先生は、これこそが全科診療医と専科医師の最大の違いだと考えている。

 

羅湖の経験

 新医療改革実施の3年前まで、張瀟瀟先生は仕事に達成感を感じることはほとんどなかった。当時、深圳では地方クラスの病院であれ、コミュニティのリバビリセンターであれ、医療資源は省都や広州、ましてや北京・上海とは比べ物にならなかった。患者の多くが上海や広州、香港、ひいては東南アジア地域に流れて行った。深圳は外部の人から「医療砂漠」ともいわれるほどであった。

 新医療改革が顕著な分水嶺となった。2015年、深圳の羅湖がテスト地点とされ、医療衛生サービスを「末端を重点に」「健康を中心に」転換し、5つの病院と23のコミュニティ・リハビリセンターを統合して、羅湖医院集団を成立させた。羅湖医院集団の孫喜琢院長と彼の医療改革チームは、住民たちが徒歩15分圏内で優れた効果的な日常健康サービスを入手できるように努力し、病院は予防保険と健康管理に力を注ぎ、「住民を病気にさせず、入院させず、負担を減らし、病気診察を便利に」した。

 「健康な羅湖」は羅湖区が自主開発し、どの医師も使っているアプリである。オンライン予約、診察費支払い、医者との契約やコンサルティング、健康管理などの機能があり、すべての集団内の病院情報が集まっている。医師は病気に対しクラス別管理を行い、定期回診のように随時住民の健康情報を知り、一部の疾病を早期発見・早期治療するため、根本から住民の罹患率を減らすことができる。また、地方病院やコミュニティの診察所では転院が必要となるが、患者のあらゆるデータがすぐに取り出せ、シェアできるので、患者が転院したときに再び受付する必要がなくなる。

 同時に羅湖では、医療保健基金で「総額管理し、残りは貯めて置く」方法をとり、住民は自由に医療機関を選択し、医療保健局は前年に羅湖医院集団と契約した保険加入者の人数を支払い単位として、一人当たりで支払いを行う。すべての集団契約をおこなった保険加入者の医療保健費用が一つの基数となり、さらに一定の深圳の年間一人当たり平均医療保健の上昇率を加える。このふたつを加えた合計の全体が羅湖医院集団にあらかじめ支払われ、これはまた「パッケージ支払い」と呼ばれる。年度末決算のとき、赤字は集団自身が負担し、もし利益が出れば、すべて集団のものとなる。

 こうした決算方式では、羅湖医院集団が利益の最大化を狙いたければ、2種類の方法しかない。一つは集団が保健契約した加入住民の健康を保証し、住民を病気にしないようにし、病院でお金をなるべく使わせないこと。もう一つは、コミュニティ・リハビリ病院のサービスを通してできるだけ多くの人と集団が契約を結ぶことである。

 孫喜琢院長からすれば、現在全科診療医学はまだ一つの完全な学科・評価システムが形づくられておらず、さらに複雑な公共衛生との業務の重複があり、それが末端全科医療に影響を与えている。「たとえば、子どもに手洗いを教えるといったような多くの全民健康教育はCDV(疾病コントロールセンター)が受け持つことができ、そうすれば、われわれはおもに慢性病や基本公衆衛生の仕事に専念できます」。

 「われわれは『羅湖モデル』と呼ぶことができるとは思いません。これは改革の一種に過ぎません」と孫院長は言う。「将来的にはより多くの健康保険の種類がつくられ、末端やコミュニティを強化し、一部の大病院が本当の意味で教学と科学研究あるいは急病・重症患者治療の職能を発揮することを望んでいます。そうすれば我が国の医療サービスシステムは比較的理想的なものとなるでしょう」と語った。


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