現在位置  : ホーム >> 文化 >> テキスト

『戦狼2』 全く新しい中国のイメージ

2017-09-25      李卓希=文

 

 

 封切り後4時間で興行成績1億元を突破、85時間で10億元、11日で34億元、35日で54億元……。『戦狼2』の人気は止むことなく、単独で中国語映画圏の興行記録を刷新し、無数の好評を博した。映画は中国の海外居留民引き揚げという実際の出来事を背景としており、中国の退役軍人である冷鋒が、アフリカの戦乱地域で我が身を顧みず同胞と異国の難民を救うという英雄物語が描かれている。豪華な俳優陣はなく、話題集めのための小細工をするわけでもなく、極めてストレートな映画がこのように中国の夏を「燃え上がらせた」。

 2016年には中国映画の興行成績の伸びが鈍化し、映画産業はさまざまなボトルネックやモデルチェンジの不調を呈しており、人を悩ましている。多くの人がなぜこの『戦狼2』の人気に火が付いたのかと疑問に感じている。



 

映画の質で興行成績は決まる

 観衆に強烈な快感を与えるタイプの映画として、『戦狼2』の撮影レベルはさらに国際的なハイレベルに近づいている。123分の長さの映画の中で、爆発の場面が数百回にも及び、大量の最先端現代ハイテク兵器と戦術・戦法が大スクリーンで披露された。アクション指導を行った米国のサム・ハーグレーヴによると、『戦狼2』の撮影中、爆発地点が非常に多く、火力も大きかったので、車百台余りと現物大の20トンタンカー2台の模型、飛行機模型を爆破させた計算になるという。

 それだけでなく、撮影クルーの半数が毒グモにかまれ、調教師がライオンに襲われ、撮影クルーの運転手が略奪を受けるなどの『戦狼2』の撮影過程の災難について、かつて呉京が語ったことがある。これはまさに、呉京およびスタッフの映画に対する懸命な態度を示すもので、それによりこの映画はこのように目覚ましい興行成績を上げることができたのだ。よい映画には、監督のその質に対する過酷な要求が必要であり、撮影クルー全体の真面目な仕事ぶりと、細かなところまで配慮された設計と推敲が必要である。このようにしてはじめて、本当に観客の心を掴む映画が出来上がるのである。

 

「悲哀主義」から「強者同視」まで

 映画的文脈のパッケージ以外にも、『戦狼2』の持つ精神的核心もその成功の大きな要因である。

 近年、中国の従来的な方法による愛国主義映画に対する観客の反応は平凡なもので、たとえ無数のスターを起用したとしても効果はわずかなものであった。問題のカギは、中国の愛国主義映画はいつもほとんど「悲哀主義」的な感情表現方法をとっていることにある。ベテラン映画評論家の薛静は、中国の経済発展と平和の持続により、こういった「悲哀」的表現方法は、現代の若い世代の中でその根を失い、彼らは中国の改革開放の中で、勢いよく発展する時代に成長したため、そうした悲哀物語には共鳴を覚えないのだと考える。

 しかし、この『戦狼2』シリーズは、新たな集団イメージ方式を打ち立てようとしている。コンテクストは「かつて弱者であった」から「すでに強者」に移り変わろうとしている。今日強大なわれわれは、昨日弱小だったわれわれを救い、こうした人を感動させる時空を超えたつなぎ合わせが、「弱者同視」から「強者同視」への変化を完成させていると薛静は語る。

 従来型コンテクスト、現代的需要、中国のイメージ、すべてが『戦狼2』の仲介により縫い合わされ、最終的に「弱者同視」から「強者同視」への転換を完成させ、さまざまな年齢・知識背景の観衆すべてに自分の感情をぶつける場所を探し当てさせたのである。



 

『戦狼2』と中国の新秩序

 近年、グローバル経済の成長鈍化とともに、反グローバル化や貿易保護主義の思潮が台頭しつつある。これはある程度、資本主義の意識形態と経済秩序がこのまま継続することが難しくなっていて、新たな打開策が必要とされていることを示している。

 『戦狼2』が民族主義の表面の下に掲げているのは、反グローバル化の自己保全ではなく、グローバル化継続による自由貿易である。こうした世界的な交流は、映画の中の陳博士を代表とする科学技術知識による援助だけでなく、ミニスーパー、大工場などを代表とする経済貿易の展開にも示されている。物資の流通はアフリカの人々に物質上の豊富さを与え、情報の流通は仇をうちたいと願う冷鋒の精神的な支えとなる。自由貿易の正義と合法さは、二重の意味で確認されている。

 『戦狼2』の成功は、中国語映画の興行成績の第一位となったことにあるのではなく、続く者のために新たなスタンダードを確立したことにあるように、『戦狼2』の意義は、ハリウッドを模倣し、黄色い肌と黒髪のスーパーヒーローを創り上げたことにあるのではなく、新しいイメージを創り上げたことにある。

 『戦狼2』の深層的意義について、薛静は、「この時代的背景のもとで、『戦狼2』が描くのは、まったく新しい中国のイメージで、これは国内に向けたものであるだけでなく、国際的なものでもあります。これは民族的感情から出発し、世界的な自由貿易秩序の擁護に向かうもので、中国の特色ある道徳規範を打ち立て、これが西洋的な枠組みを超えた、まったく新しいイメージを提供し、国内的には異なるグループ間の整合・統一を果たし、対外的には豊かな中国イメージを創り上げることに成功し、大国が興起したのちの斬新な言葉の責任を担うことこそが、この映画の超越性と感化力の在り処なのです」と語る。

 

 

 

中国专题图库