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『幻茶謎経』中国舞踊の現代的表現を探る

2017-11-01      龔海莹=文

 

 

 92日、午後7時、300年余りの歴史を持つ北京の古い劇場である正乙祠に入ると、多くの劇場とは異なり、舞台の下に大きな空地があり、観衆の座席がその空地の周囲に配置されていた。舞台の前で多くの観衆が足を止め、茶道のパフォーマンスを見ている。熱気に溢れ、茶の香りが立ち上っていた。白い姿の人が茶を味わい、観衆と語り合っている。この劇の監督で中国青年舞踊家の趙梁は本誌記者に、「彼女は劇中で『無垢』を演じていて、劇はすでにこのときから始まっているのです」と語る。

 上演中、7人のダンサーがこの赤い古い舞台の上で動き回り、観衆の近くでコミュニケーションをとり、舞台は大きく舞台の外にも伸びている。これらは趙梁の熟慮のうえの構想である。彼はよい芸術作品とは立体的で多角的であるべきで、将来の芸術はますます「全体性」が際立ち、強調されることになり、観衆と作品との関係というインタラクティブな体験が強化されるだろうと考えている。彼は「新しい舞台範囲」というコンセプトを提起し、その代表作「東方霊欲三部曲」は全てこれを基礎にできあがっている。

 『幻茶謎経』は趙梁の「東方霊欲三部曲」の中闕(上闕『警幻絶』の初演は2010年、下闕『双下山』の初演は2014)にあたり、初演は2012年で、中国の「禅茶文化」に関する舞踊劇で、そのルーツは陝西省宝鶏市法門寺の唐代の地下宮殿(1987年に発見され、世界で最も古く、最大規模、最高ランクの仏塔地下宮殿)から出土した文化財である唐の皇帝李寰(位873888)の一セットの美しい茶器に関するものである。




 中国唐代の歴史文化を背景に、茶をそのプロットとし、男性ダンサーが美しい女性の茶の霊を演じ、木こり、隠遁者、僧侶の3人の異なる人々との出会い、三人が茶の霊に会ったあとの異なる心理などを一つ一つ演じてゆくものである。舞台装置はシンプルで美しく、ダンサーの姿には昆曲や京劇などの中国の伝統劇の化粧技巧が使われ、服装も昆劇のものが採用されて、ダンスには京劇の女形の小走り、また荒事師の走りなどを取り入れて、中国の写意画のようであり、現代のコンテクストに存在する古い東方の雰囲気をつくり上げるのに成功している。

 中国で名を知られた芸術プランナーであり、かつ詩人である黄胤然は、禅と茶はそれぞれ「道」の角度と「器」の局面という極めて広い中国の文化要素を代表する二つのものを結合させていて、着想からして『幻茶謎経』は濃厚な中国の伝統的な歴史文化を含むように運命付けられていると指摘する。そして、それが含むものはそれだけにとどまらない。木こりと隠遁者と僧侶とは、三種類の異なる人物の類型を表したもので、それぞれイド、エゴ、スーパーエゴという三種の異なる精神的次元を示す個体を表したものでもあり、「東方の美学コンテクストと西方の叙述システムの融合という大胆な試み」と評価されている。



『幻茶謎経』の監督 趙梁


 『幻茶謎経』は20121031日に北京で初演された後、中国文化部の推薦で同年11月にドイツのベルリンで行われた中国ドイツ文化年で上演され、この後、中国が韓国のソウルや英国のエジンバラで開かれた国際芸術フェスティバルに参加する際に中国の代表として上演されている。今年10月、『幻茶謎経』はさらにイスラエルのスザンヌ・デラル・センターからの招待を受け、海外公演を行った。

 趙梁は、「『幻茶謎経』はまったく空間の制限を受けず、ある意味でこれ自体が芸術が持つべき自由な状態であると言えます。今後私はこの作品の異なるバージョンと形式をさらに多くの建築空間の中で上演するチャンスを探したいと思います」。中国舞踊の現代的表現の模索のうえで、趙梁がはっきりとした風格を持ち、識別度が非常に高い道を歩み始めているのは確かであり、これは彼にさらなるチャンスをもたらし、さらに自由な表現を可能にさせることだろう。

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