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内聯昇——老舗靴店の伝承と革新

2017-12-05      文=張勁文

 

 

どの老舗にも歴史があり、内聯昇も例外ではない。清末から現代まで、宮廷で履く靴のオーダーメイドから流行靴まで、内聯昇は164年という中国のビジネス界の伝奇的物語を紡ぎ続けてきた。

 

最も初期の高級オーダーメイド

 内聯昇は清の咸豊3年(1853年)に創始され、創始者である趙廷延は天津市武清の人で、小さい頃は家が貧しく123歳で北京の東四牌楼付近の靴屋に丁稚奉公させられた。

もともと賢く、働き者で、学問好きであった彼は、すぐに靴作りの技術を身につけた。師匠と仕事をしているとき、古くからのお客さんとの連絡をたやさないように気をつけた。朝廷の大将軍が、彼が作った靴と彼の商才を見込んで、趙廷延が靴屋を開くのを手伝ってくれた。将軍の資金援助のもとで内聯昇は東交民巷に設立された。

1853年の東交民巷はまだ大使館地区になっておらず、宦官や官僚たちが集まって住む場所で、商業の中心といえる場所であった。彼は商才があったので、東交民巷にしっかりと腰をすえるためには、カゴに乗ってやってくる人のための靴を作ろうとおもう。彼は彼らが今ある朝廷用の靴屋に極めて不満を持っていることを知っていたので、内聯昇は朝廷用の靴をつくることに決めた。

内聯昇という三文字には、官僚が喜ぶものが含まれている。内は内裏、宮廷という意味で、聯昇はこの店の靴を履けばトントン拍子の出世がかなうと言うことを意味している。内聯昇の名声はあっという間に高まり、一時は朝廷の文官・武官は誰でも内聯昇の靴を履いたといわれ、清の最後の皇帝が即位するときに履いていたのも内聯昇の竜靴だったといわれる。

こうして、記録に残る限り中国初のVIP顧客の身上書ができあがった。こうした官僚・貴人たちへのサービスの質を上げるために、趙廷延は靴のサイズやオーダーメイドした品物の詳細、彼らの本籍や住所、特殊な趣味などを記録に残し、『履中備載』と名付けた。この後、彼らが靴を必要としたとき、人を内聯昇に使いにやり一声かければ、あっという間に靴が作られて自宅に送られてくる。内聯昇は中国商業のオーダーメイドの先鞭をつけたと言うことができる。



 

どの靴にも心を込める

1911年の辛亥革命は、中国数千年の封建専制を終わらせたが、内聯昇にとっても大きな打撃となり、朝廷靴は以後必要とされなくなった。このため、内聯昇は手作り千層底の布靴を発売することとなる。これもまた、民国初年から現在までずっと内聯昇の特産品とされてきたものとなった。

内聯昇の千層底の布靴製作技術は2009年に国家クラス第二回非物質遺産(無形文化財)目録に登録された。今日に至るまで、この技術はいまだ師匠から弟子へと口伝され心で教えられるという方法で伝承され、弟子は少なくとも三年と4半期でようやく一人前となる。製作技術には90余りの工程があって、30余りの道具が使われる。

その中でも納制靴底は最も煩瑣な作業が必要とされる。内聯昇の千層底の布靴の製作技術の国家クラス非物質遺産の伝承者である何凱英によると、内聯昇の千層底は必要とする製作技術はとても厳格で、「これを見てください、千層底はマッチ箱くらいの大きさの中に81針整然と針が入れてあり、横も縦も斜めもすべて一列にならび、一つたりとも乱れは許されません」と語る。最も普通の一字底では2100針縫う必要があり、十字底では4200針必要です」と語る。どの靴を縫う時も、何凱英は腰かけに数時間座り続け、一針一針きちんと縫い上げる。伝承者として何凱英は大きな責任を感じており、「文化遺産を私の代で途絶えさせてしまうわけにはいきません」と語る。




 


伝承と革新のバランス

1980年代、改革開放の風が中国の経済の活力をよびさまし、内聯昇にも新たな脅威をもたらした。革靴や運動靴などの主流製品との競争の中で、手工の布靴はしだいにマイナーな製品になってゆき、ひいては工芸製品にまで押しやられたのだ。運動靴や革靴などを手掛けたこともあったが、そうした製品に何ら特色がないばかりか、何の長所も見つけることができず、十数年低迷する売り上げの中で、2000年のはじめ、国有企業改革ののち、内聯昇はとうとう自らの経営方針を明確化させた。新たに手工による布靴制作を主とする経営モデルへとかじを切ったのだ。「われわれが向き合うのはやはり中~高級市場で、現在では公務員、学者、役者さんなどです。効率の上で機械化製品とは太刀打ちできませんが、技術のうえでは明らかな特色を打ち出していきたいと思っています」と、北京内聯昇有限公司の程旭副総経理は語る。

ここ数十年、内聯昇はさらにオンライン販売に力を入れている。多くのネットショップを研究したのち、2010年に内聯昇はショッピングポータルサイトを開設した。「現在、われわれのオンラインショップの一年の売上高は100万元あまりですが、維持費はたいしてかからず、12万元程度です」と程副総経理。2011年から、天猫と京東(どちらも中国大手ショッピングポータルサイト)にもフラグシップ店を開店し、市場開拓のまた一つの利器となった。2013年の創立160周年の際には、内聯昇は恭王府で100種類もの新製品を発表するファッションショーを開催し、古めかしい荘重な建物を背景に、伝統工芸品と時代の最先端をゆく芸術とが結合した視覚の祭典を人々に見せつけた。

しかし、あれやこれやで話題をさらっても、手工芸ならではの悩みがある。「手工生産の能力には限界があり、程度を超える注文を引き受けることはできません。イノベーションによりいい成果をおさめつつも、一針一針の手工技術だけでいかに消費者の需要を満足させるか。それがいま直面する課題であるといえます」と程旭副総経理は語る



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