中国画報—中国における演劇教育

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中国における演劇教育

2018-05-30      文=龔海瑩    

  • 恰同学少年_调整大小.jpg

    『恰同学少年』

  • 唐烨说戏2_调整大小.jpg

    演技指導をする唐燁

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  201842日、北京市の大学と小・中学校で演劇文化と演劇教育を広めるため、中国で最もその名を知られる舞台劇を専門とする北京人民芸術劇院と北京市教育委員会が共同で「北京キャンパス戯劇教育連盟」を立ち上げた。初回メンバーは北京の各区・県の大学と小・中学校あわせて27校・学区で、これらの学校では演劇教育を日常の芸術教育の中に取り入れ、専門的な指導により、演劇教育によって効果的に基礎教育のレベルアップをはかろうとしている。

 「連盟が成立してから、北京人民芸術劇院の学校への普及活動がよりよく、より系統だって行われるようになりました」と北京人民芸術劇院の任鳴院長は語る。「今回、北京人民芸術劇院は多くの学校と幾つもの方面で協力を行いました。一つは北京人民芸術劇院のキャンパス出張で、最初は清華大学に行きました。次に北京人民芸術劇院のメンバーが学校で上演したり、劇の練習を手伝ったりすることです。同時に、子どもたちは北京人民芸術劇院首都劇場や、博物館、菊隠劇場などを見学することもでき、さらには参観後に舞台練習など各種の活動に参加することもできます」

 早くも10数年前から、北京人民芸術劇院の芸術家たちは学校での演劇文化普及活動に取り組みはじめ、2つの中学校に演劇教育基地を設立し、定期的に先生を派遣し、子どもたちの指導を行っていた。本誌記者の取材を受けたとき、北京人民芸術劇院の著名な監督である唐燁は、「演劇教育とは、監督や俳優、脚本家などの演劇専門人材を育てることを目標とするものではなく、誰もが演劇に参加し、その楽しみを味わってもらうためのものです」と語った。

 「われわれは教学チームをつくり、ほぼ2年おきに学校で北京人民芸術劇院の古典的プログラムの練習を行っています。練習前に、われわれはまず子どもたちに中国の古典的な台本や原著を読ませますが、それにより子どもたちが古典文学作品を読むことを好きになればとても良いことだといえます」と、海淀実験教師進修学校附属中学校に行って指導をしばしば行っている唐燁は語る。

 同じく北京人民芸術劇院の演劇教育実践基地である北京一六六中学一年生の杜明聡さんはこうした演劇教育の恩恵を受けた生徒の一人だ。彼女は、台本の勉強と練習により、より自信を持てるようになり、文学作品の理解もさらに深まったと語る。

 1990年代初めから、中国では基礎教育改革がどんどん深まり、演劇や音楽などの芸術教育もますます重視されるようになった。北京市教育委員会体育・衛生・芸術教育処の王軍処長は、「演劇の人間を育てる機能をどのようにして十分に発揮するかを探るために、この連盟という組織はつくられました」と語る。しかし連盟の成立により、演劇教育を全面的に多くの学校に日常的に行っていくという難題も生まれた。「どの学校の理念も需要も異なっています。さらに言えば、現在ふさわしい系統的な教材がなく、先生も不足していて、これらが大きな問題となっています」と唐燁は率直に語る。

 第二次大戦後、欧米では演劇理論と実践教育のうえでの探索が続けられたが、現在多くの国の演劇教育はすでに制度化・標準化されていて、例えばイギリスでは正式に演劇活動が国家英語課程標準の中に組み込まれていて、アメリカでは幼稚園から小学校、中学、ないしは大学にいたるまでの段階的な演劇教育システムがつくられている。

 中国においては、20世紀初め、欧米の演劇が導入されて数年後、中国の著名な現代教育家である張伯苓(18761951)が、欧米の演劇教育思想を参考に、演劇を一種の人材育成、社会改良方法と捉え、中国ではじめて教育体制全体の中に演劇を組み入れた現代教育方法をつくりあげた。彼の後、多くの教育者が彼の理念を実践し、演劇を手段として平民教育、農村教育、農民教育などの各種の社会教育を行った。中国の著名な現代教育家である陶行知、晏陽初らはすべて演劇を民衆教育の有力で効果的な手段とし、農民演劇実践を大いに推し進めた。

中国で今日いかに演劇を発展させ、運用して、演劇の教育的機能を発揮させるか。さらには演劇を舞台から社会へ入り込ませ、民衆の中へ浸透させるか。張伯苓氏が導入した観念から出発し、北京人民芸術劇院は演劇という形式で人を育てるあらゆる努力を行っているが、任は重く、その道はまだまだ遠い。

 

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中国における演劇教育

2018-05-30      文=龔海瑩      

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    『恰同学少年』

  • 唐烨说戏2_调整大小.jpg

    演技指導をする唐燁

  201842日、北京市の大学と小・中学校で演劇文化と演劇教育を広めるため、中国で最もその名を知られる舞台劇を専門とする北京人民芸術劇院と北京市教育委員会が共同で「北京キャンパス戯劇教育連盟」を立ち上げた。初回メンバーは北京の各区・県の大学と小・中学校あわせて27校・学区で、これらの学校では演劇教育を日常の芸術教育の中に取り入れ、専門的な指導により、演劇教育によって効果的に基礎教育のレベルアップをはかろうとしている。

 「連盟が成立してから、北京人民芸術劇院の学校への普及活動がよりよく、より系統だって行われるようになりました」と北京人民芸術劇院の任鳴院長は語る。「今回、北京人民芸術劇院は多くの学校と幾つもの方面で協力を行いました。一つは北京人民芸術劇院のキャンパス出張で、最初は清華大学に行きました。次に北京人民芸術劇院のメンバーが学校で上演したり、劇の練習を手伝ったりすることです。同時に、子どもたちは北京人民芸術劇院首都劇場や、博物館、菊隠劇場などを見学することもでき、さらには参観後に舞台練習など各種の活動に参加することもできます」

 早くも10数年前から、北京人民芸術劇院の芸術家たちは学校での演劇文化普及活動に取り組みはじめ、2つの中学校に演劇教育基地を設立し、定期的に先生を派遣し、子どもたちの指導を行っていた。本誌記者の取材を受けたとき、北京人民芸術劇院の著名な監督である唐燁は、「演劇教育とは、監督や俳優、脚本家などの演劇専門人材を育てることを目標とするものではなく、誰もが演劇に参加し、その楽しみを味わってもらうためのものです」と語った。

 「われわれは教学チームをつくり、ほぼ2年おきに学校で北京人民芸術劇院の古典的プログラムの練習を行っています。練習前に、われわれはまず子どもたちに中国の古典的な台本や原著を読ませますが、それにより子どもたちが古典文学作品を読むことを好きになればとても良いことだといえます」と、海淀実験教師進修学校附属中学校に行って指導をしばしば行っている唐燁は語る。

 同じく北京人民芸術劇院の演劇教育実践基地である北京一六六中学一年生の杜明聡さんはこうした演劇教育の恩恵を受けた生徒の一人だ。彼女は、台本の勉強と練習により、より自信を持てるようになり、文学作品の理解もさらに深まったと語る。

 1990年代初めから、中国では基礎教育改革がどんどん深まり、演劇や音楽などの芸術教育もますます重視されるようになった。北京市教育委員会体育・衛生・芸術教育処の王軍処長は、「演劇の人間を育てる機能をどのようにして十分に発揮するかを探るために、この連盟という組織はつくられました」と語る。しかし連盟の成立により、演劇教育を全面的に多くの学校に日常的に行っていくという難題も生まれた。「どの学校の理念も需要も異なっています。さらに言えば、現在ふさわしい系統的な教材がなく、先生も不足していて、これらが大きな問題となっています」と唐燁は率直に語る。

 第二次大戦後、欧米では演劇理論と実践教育のうえでの探索が続けられたが、現在多くの国の演劇教育はすでに制度化・標準化されていて、例えばイギリスでは正式に演劇活動が国家英語課程標準の中に組み込まれていて、アメリカでは幼稚園から小学校、中学、ないしは大学にいたるまでの段階的な演劇教育システムがつくられている。

 中国においては、20世紀初め、欧米の演劇が導入されて数年後、中国の著名な現代教育家である張伯苓(18761951)が、欧米の演劇教育思想を参考に、演劇を一種の人材育成、社会改良方法と捉え、中国ではじめて教育体制全体の中に演劇を組み入れた現代教育方法をつくりあげた。彼の後、多くの教育者が彼の理念を実践し、演劇を手段として平民教育、農村教育、農民教育などの各種の社会教育を行った。中国の著名な現代教育家である陶行知、晏陽初らはすべて演劇を民衆教育の有力で効果的な手段とし、農民演劇実践を大いに推し進めた。

中国で今日いかに演劇を発展させ、運用して、演劇の教育的機能を発揮させるか。さらには演劇を舞台から社会へ入り込ませ、民衆の中へ浸透させるか。張伯苓氏が導入した観念から出発し、北京人民芸術劇院は演劇という形式で人を育てるあらゆる努力を行っているが、任は重く、その道はまだまだ遠い。

 


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