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「廃墟」の未来を夢想する
写真/方謙華

 

   広州の旧市街の開発空間の不足が深刻化している今日、この3万3000平方メートルの「廃墟」は、間違いなく不動産業者の垂涎の的である。東は珠江、西は芳村大道に面していて、2分とかからない場所にバス停がある。これはこの土地が美しい川の風景と交通の便に恵まれていることを示しており、商業ビルを建てるにしても5つ星ホテルを建てるにしても、極めつけの一等地である。どうしてここを、からっぽのオイルタンク、さびの浮き出た鋼板、崩れかけた赤い壁、雑草が生い茂る小山以外、住む人もいない土地にしておくのだろうか。立ち退き問題や立ち退き補償問題は明らかに関係しておらず、都市開発のなかの「空白」ともいえるこの土地は、不動産業者を狸算用に駆り立てるのも、致し方ないといえよう。 

   しかし、この「廃墟」は、中国近代工業と広州の対外開放の歴史に深い関係をもつ。地方誌の記録によれば、ここの正式名称は亜細亜花地倉といい、石油備蓄倉庫であった。イギリスアジア石油会社によって、清の光緒32年(1906年)に建てられ、川の両岸の太古倉(スワイヤー倉庫)、協同和機械工場、亜細亜竜唛倉庫、渣甸(ジャーディン)倉庫などの工場、埠頭、倉庫とともに、広州の初期工業基地と対外通商港のひとつを形づくっていた。時間的にみれば、これは最も初期に建てられたため、長い歴史を感じさせ、これがこの「廃墟」のバックにあるシンボルとなっている。 

   このため、未来もまた複雑なものとなった。2008年9月、中国内外の都市計画者の一団がやってきて、この歴史的意味をもつ「廃墟」が彼らとともに、話題の焦点として浮かび上がってきたのだ。

外国人インタビュー

インタビューアー:董(アメリカ留学中の大学院生)

回答者:ガレット•アヴェリー アメリカ•カリフォルニア州サンディエゴ

:あなたは、この場所をどのように描写しますか?

:このような場所を、我々は「ポスト工業」地といいます。水辺にたっていて、サンディエゴに似ています。我々も水辺に工場区を建てており、ある種の伝統のシンボルとなっています。ここには以前から工場があり、製造•貨物運輸、倉庫備蓄あるいは輸送に利用されていました。この場所は「工業」がもつ特質と一体となっています。ここは工業の名残りであり、徹底的に消し去るよりも賛美し鑑賞するほうがよく、ここがかつての広州に与えた意義を感じとるのは、大切なことです。

:もし、あなたが施工主ならば、この場所をどのように使いますか?

:視覚的によく、歴史的価値もあります。これらのオイルタンクはある種の「門」のような作用をもっています。文化的意味だけでなく、歴史的価値もあります。また、これらのものはとても見栄えがよく、趣があります。私はこれらを保存しておくのは、とても重要なことだと思います。なぜならこれらは我々がもう一度建てようと思ってもできない、複製不可能なものだからです。我々が歩んできた歴史を残すのは必要なことなのです。

:サンディエゴでも同じことをしますか?

:もし可能なら、そうします。ただし、サンディエゴは比較的新しい都市で、200年ほどの歴史しかありません。そのため、残さなければいけない歴史は少ないのですが、広州は2000年の歴史がありますからね。

:あなたは、これが「ポスト工業時代」の産物だといいますが、サンディエゴにも「ポスト工業時代」はありますよね。この点からいうと、両者の比較は可能ですか?それが象徴するものとは何ですか?

:そうです、この場所の再開発構想は、この土地だけで語ることはできず、広州全体の方針と関係してきます。都市全体からみると、この場所は象徴的意味をもち、ここは両者を統合する機会を提供します。都市の再発展を構想する人が、都市をどのように発展させるか、都市の断片をどのように組み合わせるのか、どのような新しい方法でコントロールするのかを考慮しつつ、同時に「広州とは何か」という問いかけをしたり、その歴史を見失ったりしないことは、非常に重要なことなのです。

アンドリュー、景観デザイナー、イギリス•マンチェスター出身

:この場所の特徴は、どんなところにあると思いますか?

:オイルタンクが独特ですね。非常に面白い。

:景観デザイナーとして、どんなところが面白いと感じますか?

:オイルタンクが周辺の景観に多くの三次元の要素を与えているところです。この周囲は、大部分が低い工場や壊れた建築物です。しかし、このオイルタンクは非常に大きな三次元の物体で、デザインの視覚的焦点となります。これは過去の工業を象徴しているだけでなく、デザインのなかで再利用することができます。 :あなたならどのようにデザインなさいますか?

:個人的には、この場所を一種の「工業公園」にすればよいと思います。ヨーロッパ、とくにドイツでは、これに似た多くのケースがあります。以前の工業地を人々のための公園にするのですが、構造はそのままにし、かつての工業の側面、その場所に残る伝統はそのままにして、それに機能性と娯楽性を加えて再生し、人々のための娯楽•レジャー空間を提供するのです。きのう、我々はオイルタンクの上にのぼりましたが、非常に面白かったです。上から都市の風景の一部を見ると、アングルが素晴らしかった。ただし、とても怖い体験でしたがね。

エイプリール•ジャクソン アメリカ

:まず自己紹介をお願いします。

:私はシカゴ出身です。イリノイ大学で建築学士号を取得し、ヴィスコンシン大学ミルウォーキー分校で建築と都市計画の修士号を取得しました。そのため、建築と都市計画の両面に充分な知識があります。

:中国とアメリカでは建築学において、違いがありますか?

:とても違います。アメリカでは景観と結合した建築理念が非常に重視されますが、ここではほとんどが都市計画です。ここではすべてが都市計画に関係します。たとえば高密度の人口、都市再建などです。アメリカでは、このような発展計画はありません。

:すでに実地調査をしたそうですが、第一印象はいかがでしたか?

:私は川ぞいのこの場所をくわしく観察しました。この敷地がおよぶ範囲、開放度は驚くべきものです。この遺棄された工場は大きな開放的空間を持ち、快速に発展する都市にこのような大きな未開発地があるなんて、非常な驚きです。

:あなたなら、ここをどのように改造しますか?

:我々は今、現地の状況をどのように保存してゆくかを考えているところです。一部の建築を保存し、その土地の事情に即してリサイクルし、現地の人口の多様性を保存し、そのうえでどのようにして更に別の局面を加えるか、などです。たとえば新しい生活スタイルの確立や観光客を呼び寄せることなどです。ここを離れようとしない人もいるかもしれない。そのためには、現地に住む住民をそのままにするという基本のうえで、総合的に考慮しなければなりません。我々はまだ手探りの段階です。 我々はここを、川へと向うゲートウェイにしようと考えています。計画がすすんだら歩行者専用通路を作って、人の流れを引き寄せるスポットにしてもよいかもしれません。

:シカゴのネイビーピアのようにですか?

:そうですね。ネイビーピアに似ています。陸の通路だけでなく、水辺の散歩道もある観光スポットを作り出すのです。

:都市計画デザイナーとして、ここをどのように改造すべきだと考えますか?

:よく考える必要があると思っています。ここの独特な文化を保つと同時に新しい生活スタイル、新しい個性を加えなければなりません。今あるものを取り去るのではなく、更によいものへと変化させるのです。ここを現代化すると同時にもともとある歴史のテクストや文化を残さなくてはなりません。

廃墟の背景資料 

   【亜細亜花地倉】広州市冲口信連路29号、イギリスアジア石油会社が広州に建てた石油備蓄倉庫で、清の光緒32年(1906年)に建設が開始された。敷地面積3.3万平方メートル。1951年4月に広州市軍事管制委員会により接収された。倉庫の東は珠江、南は広州市港務局大冲口倉庫、西は芳村大道、北は信義路ドイツ教会跡に接する。 

   現在、事務棟が2棟、旧倉庫が3棟、大型金属オイルタンクが4つ、川に面した埠頭が1つ、イギリスの「シェル」ブランドの砂こし井戸の蓋が1つ残っている。

   事務所は2棟で、ひとつはメイン事務棟でオイルタンク入り口付近にあり、清末に建てられた。もうひとつはオイルタンク右側にあり、1920年代に建てられた。 

   旧倉庫は3つあり、1、2、3号と番号がふられている。1号倉庫はメイン事務棟の右側にあり、中華民国元年に建てられた。2号と3号は隣り合っていて、メイン事務棟の西側にあり、1920~30年代に建てられた。 

   円柱形の金属オイルタンクは4本あり、16、17、18、19号と番号がふられている。オイル庫の右側にあり、1918年に建設が始められた。備蓄タンクは1930年代に日本軍が広州を占領したとき、空爆から守るために防護壁が付け加えられ、中に入るための小さな門が残っている。オイルタンクと防護壁との距離は約2メートルで、レンガの厚さは0.6メートルである。高さはオイルタンクとほぼ同じである。

   砂こし井戸の蓋は、当時イギリスで作られたもので、銑鉄で作られ、表面に「シェル」ブランドの商標が刻まれている。

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