中国画報の購読
中国画報社
のほかの刊行物
  • 工業
温州のアパレル産業:チャンスが潜む金融危機
文/譚星宇

 

チャンス:産業調整

 驚いたことに、記者がインタビューした数社のアパレル企業は、操業停止をしていない。それどころか生産ラインの作業は一刻も止むことなく、金融危機の影響はいささかも感じられなかった。これは数社の特別な状況なのか、それとも業界全体の普遍的な状況なのだろうか?

 記者は、鄭晨愛会長からその答を得た。記者のインタビューを受けた鄭晨愛は、金融危機の影響に対して温州のアパレル企業はさまざまな対抗手段をとり、それは効果をあげていると答えた。彼は自信あふれる態度でこのように語る。「現在、降下趨勢はすでに抑止されており、われわれは積極的に注文を取っています。外需が不足しているのなら内需で補い、大口注文がなければ、小口注文をいくつも請け負います。何もせずに倒産を待つよりましです。実は、値段が割合高くリスクが小さいので、小口注文も悪くはないのですよ。うちの会社は34月に、5月までの注文をもらっています」。

 温州の人々は今回の危機に多くのチャンスを見つけた。温州のアパレル業界は、今回の金融危機を自己調整のよいチャンスと考えていると鄭晨愛は語る。今回の金融危機には、二つのチャンスがある。一つは優遇政策である。いままでは、国家はアパレルなどの伝統的産業をあまり重視しておらず、銀行からの融資も難しく、企業は発展しようとしても難しかった。しかし、アパレル業は、数多くの就業チャンスを提供することができるため、金融危機の時には国家に重視された。「いままで、企業は経営パターンを変えようと努力してきました。しかし、温州は広東省の東莞と違って、われわれの企業はほぼ自己資金で運営しており、容易に中・西部にゆくわけにはいきません。国家の指導する政策は、われわれの企業の発展を制限する結果となっていました。現在は政策が変わり、われわれはずいぶん楽になりました」。

 もう一つは、市場のチャンスである。「金融危機の影響をもっとも受けたのは、贅沢品とハイレベル消費で、品質がよく、値段が安い大衆的な商品にとって、今はちょうど発展する絶好のチャンスなのです。たとえば温州の靴は、アメリカで売れ行きが好調です。服装も同じでしょう」。

 温州のアパレル企業は長年にわたる発展を経て、規模を備え、技術的メリットを持つ数社の企業が現れ、国際レベルの高級服飾品を製造できるようなっている。しかも、イタリアなどの伝統的な高級ファッションに比べると、値段がかなり安く、コストパフォーマンスにすぐれる。現在、温州のアパレル業は明らかにセールス、ブランドなどの下流部分に力を入れていて、すでに相当の成果を収めている。

 ここ数年、「美特斯邦威(Meters/bonwe)」、「森馬(semir)」などの温州のアパレル企業は、「バーチャル経営法」を採り入れている。いわゆるバーチャル経営とは、企業が充分に外部資源を利用し、製品の付加価値の低い加工をほかの企業などに請負わせ、自社が付加価値の高いキーとなる製作だけを行うことで、企業全体の競争力を高め、低コストで迅速に拡張する手法である。「森馬」を例にすると、服装の縫製やセールスなどを他の企業にやらせ、自社はファッションのデザイン、ブランド経営などに専念して森馬グループの迅速な拡張を図っている。2005年の森馬の売上高はわずか17億元だったが、2006年には25億元、2007年には42億元、2008年にいたっては587000万元にもなり、驚くほどの増加をみせている。

 温州でもっとも大きいスーツ製造企業、法派(fapai)社の高級エコノミスト呉仁水はこのように語る。「われわれは『ブランド品集合店』の理念を打ち出し、法派社がリーダーシップをとって、温州のブランド婦人服、革靴、メガネ企業と共に一つの生産・貿易企業をつくりあげ、皆で一緒に商売をやっていこうと考えています」。

 法派集団は温州でも規模がもっとも大きいアパレル企業の一つである。今回の金融危機では、ひどい影響を受けて、対外貿易高は3割も減った。危機対応のために、彼らは「優衣派」という新しい会社をつくり、今、その開店業務に忙殺されているところだ。「優衣派」は、正装・カジュアル服・ビジネスカジュアル服を主として、皮革、トランク、アクセサリーを兼営する。これらの製品は、ほとんどを温州の企業にOEM生産させている。5年間にわたって会社は20億元を投資する予定で、売上高は100億元を実現させる予定である。「優衣派」も、生産やセールスを法派などの縫製企業に請負わせ、自社はブランド経営に力を傾ける。「優衣派」が公式に設立しないうちから、ヨーロッパ市場に導入する協力意向書を外国企業から受け取ったという。

 バーチャル経営は、すべてのアパレル企業に適応するわけではないとも鄭晨愛は指摘する。「ブランド経営と加工はまったく違った分野です。例えば、野菜栽培の農民に商売をやらせれば、きっと野菜の小売商に負けます。バーチャル経営は、供給チェーン、物流配達システム、情報化技術などについての要求はかなり厳しく、投資が極めて大きく、普通の中小企業では負担することができないものである。「温州の85%以上のアパレル企業は、加工縫製を主としており、産業チェーンの最低層に置かれています。このような産業構造は、温州のアパレル企業が金融危機に対抗する能力を弱めています」。中小企業からすれば、産業構造の調整にもっと力を入れ、自社の中心的競争力を高めるべきであろう。

 記者が原稿を書き上げるまでの間に、温州のアパレル業は金融危機のもっとも厳しい時期を乗り越えたようだ。20093月、温州のアパレルおよび付属品の輸出高は、7878万ドルで、前年同期比32.26%増となった。これらの眩しい数字は、金融危機の真っ最中では非常に貴重なものだろう。

 

   <   1   2  

Copyright by China Pictorial © 2000-2002 ALL RIGHTS RESERVED
Reproduction in whole or in part without permission is prohibited.

Director E-mail:xubu61@163.com
Add:33 Chegongzhuang Xilu, Haidian District, Beijing 100044, China
Questions, Comments, or Suggestions? Please send to:
cnpictorial@gmail.com