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ある日の早朝、放牧をしていた娘サイリとその弟のサイムが水を汲むために井戸にやってきた。彼らはみなが苦しんでいるのをみて、とても心苦しく感じ、どうやったらみなを助けることができるか話し合っていた。すると突然、井戸のなかに二羽の白鳥が映り、白い羽を羽ばたかせて、涙を流しながら、悲しげな声でこのように言った。「羊飼いの娘よ、すぐに家に戻りなさい。あなたたちの誠意は天の神を感動させました。二日以内にあなたたちは酌み尽くすことのない泉を手に入れることができるだろう。ただし、神に誠意をみせるために、明日の朝、神に男女の童を捧げなさい!」こう言い終わると、白鳥は姿を消した。姉と弟は水を担いであわてて家に戻り、一部始終を父親のサイバクに語った。サイバクはこれを聞いたものの、どうしたらよいか途方にくれた。その日の夜、姉と弟はじゅうたんの上に横たわり、みんなのことを考えながら決心を固めた。空が明るくなったのち、姉と弟はまた井戸に水を汲みにゆき、水桶を入れると、水に向って語りかけた。「天よ、わたしたちはみんなが幸せに暮らすことができるようになるために、わたしたちのすべてをあなたに捧げようと思います!」話もおわらないうちに、この井戸は突然青い水をたたえた大きな湖となった。



サイバクはサイリとサイムが見当たらないので、あたりを探しまわった。彼はかわいそうな子どもたちを見つけることができず、悲しんで眼がみえなくなるほど泣いた。このとき、湖のなかにふたつの島ができ、みながあれはサイリとサイムが形をかえたものだと噂した。
これに感動した西王母(中国の神話上の仙女)が、頭の簪をぬき、湖の岸辺と山の間に線をひくと、湖の岸には青々とした草が生え、鮮やかな花が咲き、今見られるような美しい姿になったという。
これ以降、遊牧民たちはサリムとサイムを記念して、この湖をサリム湖と呼んだ。
天の恵みなのだろうか。26日のサリム湖は、とうとうベールを開けて、その美しい姿を現した。
早朝のサリム湖は、その美しさで人を圧倒した。真っ青な空の下で、岸辺の緑はみずみずしく、花が咲き誇っている。陽光に照らされ、湖面は澄みきり、薄いブルーから深いブルーまで、絵の具で染めたような美しさである。遠くには雪を頂いた山なみが望め、森がひろがっている。湖岸の小高い草地やなだらかな丘にはパオが点在し、草をはむ牛や羊は雲か綿毛のようで、天国のような風景である。
われわれがサリム湖に滞在したのはたった30時間ほどだったが、その間に嵐を見、雨と雪と寒さをへたのち、とうとう最も美しい景色を目にすることができた。そしていま、みなさんにそれをご覧いただけることを、とてもうれしく思う。