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思い出を守る絵筆
文 丁文蕾 趙 月 写真 江 華

 

私の絵、私の村

過去5年間で、常秀峰は日常生活の情景、自分の古い家、隣人たち、畑仕事のようす、民俗、草花や樹木など、懐かしいふるさとのすべてを描き出した。

「農村の様子ははっきり覚えています。どのような色を使うかは考えるまでもなく、すぐに描けます。」

常秀峰は暖かい色調でいままでに経験した苦労と貧しさを表している。それらの日々は彼女にとって楽しいものだったからである。彼女は今の家族と一緒の生活にも満足しており、明るい楽しい色彩を多く使って描いている。しかし、『古い家』は例外の一つである。冬の薄ら寒い空の下に寂しげに建っている古い家、そのそばには葉がすっかり落ちた黒い大木が立っている。「この古い家は私の心の中に50年以上もずっとあり続けたものです。これを見ると、昔の苦しい日々を思い出します」と、常秀峰は語った。

ファンゴッホの『ひまわり』を見て、常秀峰はこの不幸な画家の心の苦悶を察しとったようだ。「彼はこれを描いた当時、心がとても苦しかったはずです。これらのひまわりの色は暗く、元気もなく、花弁も落ちてしまっています。」

「似ていない絵は人をだますこと」

常秀峰が絵を描くのは、彼女を感動させた、記憶になお新しいことがらや場面を再現するためである。絵の中に登場する人はすべてに名前があり、家には家族史があり、どの場面も彼女の思い出の中で生き生きとしている。

常秀峰は公園で散歩し、木の葉を持ち帰って、その大きさ、葉脈の数、色、ひいては虫食いの穴までそのまま完全に描き出した。

「似ていない絵は人をだますことになる」と彼女は言う。「絵筆はもともと一部の物の真実を変えてしまうものですが、繰り返して直しているうちに、さらに元の様子から離れていってしまいます。それは美しくても、真実のものではないのです。

週末、息子夫婦は母を連れて美術館やスケッチに行く。しかし、想像力によって描くのは明らかに75歳の老人の本意ではない。

「私は真実のものだけを描き、過去を記念するために描くのです。また絵画を通じて自分の経歴や物語を語りたいのです。」

このような現実主義的な絵のテーマは、第一の鑑賞者である彼女の息子江華の強烈な共鳴を引き起こした。これらの絵を見ると、子供時代のすっかり忘れていたことがらが瞬時に目の前に蘇ってくる。それは非常に複雑な感覚で、純真な幸福感と貧しい思い出や畑仕事の苦しみが混ざったものだと、江華は語る。これらの絵はさらに多くの人に、似たような感覚を引き起こしている。

「常秀峰の絵の中に、ある人は思い出を見つけ、ある人は純粋で安らかな心を感じています。」

多くの人から受けた是認と好意は常秀峰の心を奮い立たせた。いまや絵画は彼女の日常生活で不可欠なものとなっている。一年あまりにわたる油絵の創作訓練を通じて、彼女はキャンバス上に油絵具を塗るのに熟練し、毎日4時間は絵を描いている。常秀峰は命あるうちに本当の意味での自伝絵本を描くつもりである。

 

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