中国画報の購読
中国画報社
のほかの刊行物
  • 本誌特別記事
野生動物とともに暮らす東北人
文 譚星宇 写真 王福春
 

 

山の中のノロジカの飼育者

黑竜江省大海林林業局双豊林場の山奥の原生林のなかに、林業に携わる閻鳳平とその妻が住んでいる。彼らは山の中でずっと暮らしており、ここのすべてをよく知っている。

ある日、閻鳳平の隣人が山で2匹の幼いノロジカを捕らえた。ノロジカは東北地区でよく見られる野生動物で、生まれつき聴覚、視覚、臭覚が鋭く、そのうえ足が速いため、厳しい野外環境の中でも生存・繁殖できる。特にその毛皮は尊ばれ、上等な毛皮とされており、ノロジカの肉も栄養豊富で、柔かくおいしい。中国東北と内蒙古の一部の地区(たとエヴェンキ族)の人々にとって、ノロジカは主な食料である。現在、野生のノロジガは少なくなり、飼育されているノロジカもいるが、野生のものよりもおいしくないという。ノロジカの子どもを捕えた隣人は、ごちそうが食べられると大喜び

閻鳳平はノロジカが捕らえられたと聞き、興味をもってそれを見に行った。2匹のノロジガはひどく怯えていて、隅に隠れて動かない。彼らのひどく弱弱しい目つきに心を打たれ、閻鳳平は家に帰ると、妻にノロジカを飼育したいと相談した。優しい妻はすぐに閻鳳平の思いを理解し、自分の卵を産むめんどりと交換することに快く同意した。隣人は不満気であったが、とうとう閻鳳平の願いを聞き入れて交換に同意2匹のノロジカの子どもを彼に渡した。

2匹のノロジカの飼育を始めてから、閻鳳平たちの生活は大きく変化した。毎朝起きるとすぐノロジカにミルクを飲ませ、おいしい食べ物を用意する。ノロジカが病気にかかれば、すぐ病院に連れて行く。「自分の子供のようです。ときに孫の私よりもいい待遇を受けています!」彼らの娘は出稼ぎに行って家にはおらず、おじいさんとおばあさんが面倒をみている孫はノロジカの飼育も助け、いい遊び相手となって

ノロジカは大きくなり、夫妻はその「結婚」のことを心配し始めた。長い間苦労して、やっと同郷のある家で飼われているノロジカと交配させることに成功した。今や、ノロジ67匹に増え、みな可愛く元気よく育っている。都会の金持ちが彼のノロジカのことを聞きつけ、そのおいしい肉をねらって車でやってきては、高値でそのノロジカを買いると言うが、閻鳳平はすべてきっぱり断っている。「食べるものに困ったとしてもノロジガは売りません。子どもが増えたら、彼らを山に戻すつもりで

最後のオロチョン族の狩人

60歳の戈宝涛は妻の孟小琴と大興安嶺の山奥の森林に住んでいる。戈宝涛は生涯山の中で狩りをして暮らしてきた。一つの布袋、小口径の銃、腰にぶら下げた刀、彼のあとを追う小さな狩猟犬から、彼が狩のプロだということがわかるだろう。今まで彼が倒した熊やシカは、数え切れないほどだという。

オロチョン族である戈宝涛の狩猟技術は、代々伝えられてきたものである。オロチョン族は大・小シンアンリンと黒竜江沿岸の国境付近に住む遊牧狩猟民族で、馬に乗るのがうまく狩猟が得意なので、「シンアンリンの狩猟の神」、「馬の背の上の民族」と呼ばれる。代々狩猟で生計を立て、野生動物の肉を食べ、動物の皮を着て、とがった屋根をもつ木造の家に住み、氏族社会の伝統的な狩猟習俗と原始的生活状態を保ち続けている。

オロチョン族は独特の風習を持っている。熊を捕えたのち、その熊にひざまずいて詫びをいれたり、熊が死ぬことを熊が寝入ると言ったりする。そして、熊のお腹を切り割き皮を剥ぐ前に、来世で熊による危害を避ける意味から、熊の口に木の枝のつっかえ棒をいれる。熊を解体してから、熊の頭を木の梢の上に置く。彼らは熊の頭に霊魂が宿ると考えており、それを食べたら、熊たちは繁殖できなくなると考えているのだ。その風習は現代人から見れば迷信でしかないが、オロチョン族が森や山と共存するための生活の知恵なのである。

現在、山の野生動物はどんどん減少していて、戈宝涛は一冬の間に、わななどを使って56匹のノロジカを捕らえることができただけであった。国は狩猟禁止令を出しており、希少な野生動物の狩猟を禁じ、ヘラジカやノロジカなどの比較的多い野生動物には狩猟の制限を設けている。隣人たちの多くは以前は狩猟で生計を立てていたが、現在はみな山のふもとに転居し、農作業をしている。戈宝涛一家は森林とともに狩猟で生活している最オロチョン族となり、電気も道路もない山の上に暮らす彼らは、2週間に一度歩いて山を下り、生活用品や野菜を買いにいく。

2006年の春、王福春は再び戈宝涛の家を訪れ、10年あまり前に撮った写真を彼に見せた。その写真は老人の限りない記憶を呼び起こした。戈宝涛によると、彼は山の中でずっと暮らしてきたため、山を離れると全身の具合がよくなくなり、頭もひどく痛むという。「私は一生この山を離れず、山の中で死にたいと思っています」。その年の10月、戈宝涛は病気のため山で亡くなって、彼の人生最後の願いは叶えられた。

   <   1   2   3   4   >  

Copyright by China Pictorial © 2000-2002 ALL RIGHTS RESERVED
Reproduction in whole or in part without permission is prohibited.

Director E-mail:xubu61@163.com
Add:33 Chegongzhuang Xilu, Haidian District, Beijing 100044, China
Questions, Comments, or Suggestions? Please send to:
cnpictorial@gmail.com