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捕蛇者の説
文と写真/肖詩白

 

湖南・貴州・重慶の境界にある武陵山地の密林に、「かまれるやいなや死んでしまい、百人に一人も生きられない」という毒ヘビ・五歩蛇(かまれると五歩も歩けずに死ぬことから名をとられた)が生息している。生計のためにヘビを捕らえている人々にとって、五歩蛇がいるところにはお金がある。しかし、長きにわたる非合法的な捕獲によって、ヘビ捕りたちの生計が脅かされてい

午後5時、夕陽は貴州省武陵山地区の山なみに最後の光を投げかけていた。私は唐さんについて、山を午後じゅう歩き回ったが、なにも得るところがなかった。暗くなる前に山を下りようとして、私は両足が棒となっているにもかかわらず、必死で唐さんの後ろについていった。日がすっかり暮れると、山は重苦しく見えたが、暗いところでホタルがぽつんと微かな光を放っていた。キリギリスも、夏の蒸し暑い天気に悲鳴をあげているかのような鳴き声をあげていた。言い表せない恐怖と不安に煽られ、私は早足で歩きながらも、道脇の雑草を踏まないように注意していた。

そのとき、数百メートル離れたところで、悲劇が起こっていた。私たちが山を下りた時、江口県気象局の4人の係員が、このあたりで野外気象自動観測ステーションの計器を検査していた。突然、草むらから1匹の五歩蛇が飛び出し、気象局副局長の踵の動脈をかんだ。彼らは救急薬の使い方を知らなかったため、病院に運ばれた時、彼はすでに息絶えていた。

私は翌日、唐さんに会いにいったときにこのことを聞かされた。彼がベッドに座ってこのことを話してくれた時、死者への哀悼の気持ちのなかに、自分がその災難から逃れ得ている喜びもわずかながらに伺えた。私としゃべりながら、彼は左手で雷管が破裂したときに切断した右腕を無意識に撫でていた。部屋の中は静まり返っていて、隅っこのおんぼろの腰掛に座った私は言葉もなく黙りこくっていた。そのときは、どうしても適当な返す言葉を見つけることができず、ひたすら恐怖を覚えていたからである

五歩蛇は、百歩蛇(ヒャッポダ)尖吻蝮ともよばれ、劇毒を持ち、気性は凶暴である。民間では、これにかまれると、五歩以内に必ず死んでしまうと伝われている。唐代の文学者柳宗元は『捕蛇者の説』に、「触れた草木はことごとく枯れ、かまれると、その毒に耐える者はない」と記されている。五歩蛇は長くて大きい管状の歯があり、人の体に注がれる毒液は極めて複雑な血液循環を壊す神経毒素であり、数十種の体の出血・水腫・壊死をうながす物質を含有する。その神経毒素は、人の心臓、骨格、筋肉、そして周囲の神経に極めて大きな破壊をもたらす。かまれた人は、まず肢体に水腫が現れ、そして広範囲の組織が壊死する。そのままきちんとした手当てをしないと、数時間のうちに臓器不全で死んでしまう。貴州・湖南・重慶の3つの省・市の堺となっている武陵山地区は、五歩蛇が多く分布する地区である。毎年78月になると、五歩蛇は活発に活動する時期に入る。武陵山の奥地にある江口県赤十字病院は、毎年その時期に15人~20人のけが人を治療する。

五歩蛇は、劇毒をもつことで知られているが、地元の人々はヘビの話をしても怖がることはなく、かえってヘビに対して特別な感情をみせる。古くから、「広東の人々はヘビを好んで食べる」という記載が見られ、ヘビを食べることは広東の独特の飲食文化となっている。ヘビは劇毒はあるが、味は極めてよく、しかもいろいろな病気を治すことができるといわれている。そのため、危険を犯して捕まえる人も少なくない。唐さんもその一人で、「これはお金を儲けるよいチャンスです。私は1匹も逃がしたくありません」と彼は興奮気味に言う。

唐さんは地元生まれ地元育ちの農民で、地味で善良だが、執念深い人である。年を取ってはいるが、足取りはまだまだ確かで、山や林をすばやく歩くことができる。3年前、原生態の五歩蛇を撮影するために、私は初めて唐さんを訪ねた。彼は地元のヘビ捕りの達人で、片手で獰猛な五歩蛇を捕らえることができる。彼と一緒にヘビを探すうち、私は彼が片手でヘビを捕まえる危険さを肌で感じ取った。ほんの少し間違っただけで、ヘビに命を奪われてもおかしくないものの、いままでは幸運にも五歩蛇にかまれたことは

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