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瓦猫がいる空
文 娟 子 楊剣坤  写真 楊剣坤

中国文化では、ネコはねずみを捕るため、人間のためになる動物とされている。しかし雲南では、ネコはさらに崇拜の対象となる動物である。

瓦猫を発見したのは、麗江のある小さな店の中であった。その日の天気はまるで瓦猫との出会いのために用意されたようであり、明るい日差しが古城の軒先から落ちていて、私の足元にある灰色っぽい物を照らしていた。それが瓦猫であった。瓦の色をした瓦猫は丸い目を見張り、顔の半分を占める大きな口からは舌とも歯ともわからぬものが見えていた。誇張された造型で、目をむいて怒っているようでも、ハッハッと大笑いをしているようでもある泥の霊のような瓦猫は、静かに狭い路地の陽だまりに在って、天真爛漫さの中に野性味を秘めて、魅力を放っていた。私もこれにたちまち魅了され、瓦猫の顔を真似してみたりした。こうして瓦猫の名を覚え、その日の夜はずっと灰色の猫が私の心の中に居座っていた。

瓦猫がいるべき場所は屋根の真ん中である。伝説によると、この瓦で作った猫は魔物や妖怪をみんな食べてしまい、家を守ってくれるという。それを家の屋根、あるいはひさしや門の上におくと、家にやってくる災いをすべて取り除いてくれると信じられている。地元の伝説によれば、自分の家の玄関の正面に高い家屋などがあったら不吉であり、家の金運に影響を与え、ひいては疾病や災禍をもたらすと考えられていた。このため、玄関や母屋の屋根に睨みをきかす瓦猫を置き、邪悪なものを避け、災いをなくすようにしたという。

瓦猫のできるまで

雲南省大理州の鶴慶子という場所には、灰色い煙が弱く立ち昇るレンガ窯がある。それが鶴慶映紅レンガ工場である。ここはすべて石炭を燃料とする小さな窯で、生産方法はいまだ数世紀前のままである。火を消すときには窯の上の煙突を閉め、泥で堤をつくり、その堤の中に水を入れる。そこで働くのは元気で楽しいペー族の女性たちで、彼女らは重い土レンガや炭を背負って、蒸し暑い窯とレンガ工場の間を往復している。顔はすすで黒くなっていたが、白い歯と明るい目を輝かせ

陶器は新石器時代の最も代表的な人類の芸術作品であり、「火と水の芸術」と称えられている。瓦猫は多くの鉱物質を含む雲南赤土で作られ、700~800℃の低温で焼成されたものである。原始宗教では、自然の山・木・石などすべてに鬼神が生息していると考えられていた。それによる害を避けるために、人々はさまざまな対応手段を取らなければならなかった。瓦猫の魔よけの作用を、村民は信じて疑うことはない。瓦猫はネコの形に焼きあげるが、原形は神の虎で、鬼を食べる。それは邪気をはらい福をよび、家を守る作用を持っている。瓦猫はネコと名づけられているが、ネコをトラにたとえているのであり、トラの勇猛を借りて家を守るのである。中国古代では、最も古い時代の家を守る神は神荼と郁塁であり、唐代以降、秦と尉遅恭に変わった。門を守る神は鬼を捕らえる役割をもち、鬼を消し去るのはトラが受け持つ役割である。そのためこれらの門神はトラを飼っている。瓦猫をトラのようなネコのようにして、屋根の上に置き、家を守らせ、すべての妖怪を食べさせる。トラは百獣の王なので、瓦猫の額あるいは頭部に「王」の字を書く。前足のところに円い八卦が描かれその中央には陰陽太極があるのが典型的な造形である。

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