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2枚の古い写真
2007年7月、南極に行く船のうえで、隊員の王海栄は曲向東に言った。「わたしたちは海外のいろんなところに行ったけど、長江と黄河の源を見ることはできないのかな」。
王海栄のその言葉は曲向東の心に残った。中国中央テレビで『経済30分』『対話』『大家』などの番組の司会を務める曲向東は、中国のメディアでもっとも早くから気候変化とそれが生態系に与える影響について注目している人間のひとりで、1998年には彼は3カ月をかけて車で黄河をさかのぼるという活動に参加している。2007年から彼はまた中国実業界・文化界・メディア界からえりすぐられた人々による「地球カウントダウン」という全世界の生態系を訪れる活動を開始している。今までに南極・北極、南アフリカの草原、バイカル湖、アマゾンの熱帯雨林、タクラマカン砂漠、ヒマラヤの氷河など、地球温暖化の影響をもっとも受けている場所を訪れて
長江・黄河の源はともに青海・チベット高原の奥地にあり、瀾滄江の源とあわせて三江源地区と呼ばれている。三江源地区は世界で唯一無二の生物の多様性をもつだけでなく、中国ないしアジアでもっとも重要な水源地であり、「中国の水塔」と呼ばれている。「聞くところによると、青海・チベット高原の気温変化の幅は全世界の気温変化の幅3倍で、地球温暖化がこのように急激にすすんでいるとなると、われわれの長江・黄河の源はどのようになっているんだろうか。写真で見比べてみることはできるのだろうか」。曲向東は多くの資料の中から、とうとう2枚の貴重な写真を発見した。
この2枚の写真は人民画報社のカメラマン茹遂初が、1972年の黄河の源星宿と1976年の長江の源チャンゲンデイル氷を撮ったもので、1970年代の人民画報に掲載されていたものである。曲向東はすぐさま茹遂初がその当時写真を撮った場所に行って同じ角度から写真をとり、写真によって30年の変化を観察しようと決めた。