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丙安は赤水河のほとりに位置し、明・清時代には四川省南部から貴州省に入る古街道沿いの重要な町であった。町には狭い長さ400メートルの石畳の街路だけがあり、古くから周囲の村々に住む人々が商品取引を行う重要な場所であった。石畳の街路に沿って歩くと、木の板で造られた壁や古い建築が随所に見られ、遥かなる昔に戻ったような感じがする。
橋の一方は四川省、もう一方は貴州省
先日まで私は四川省の故郷に休暇で帰っていたが、何日も雨が続いて、町のお祭りも中止になり、がっかりしていた。ある日、おばあちゃんと世間話をしているときに、赤水の話から古い町の話になり、家から近いのにまだ足を踏み入れたことがないところ、丙安に話が及んだ。赤水市は貴州省北部で、四川省瀘州の九支鎮の川向いにある。旅行というとすぐ遠くに目が行って、近くにあるけれども美しいところを見落としがちである。家で数日休んでから、いとこと瀘州から九支行きのバスに乗り込んだ。
南方の春は長く続く。もう5月の初めだというのに、意外にも道路わきの田畑の畔にはちらほらとアブラナの花が咲いているのが見られた。1時間半バスに揺られて、九支橋頭駅に着いた。赤水河の岸辺にある九支鎮は、貴州省赤水市と川を挟んで向かいあっている。地元の人に聞いて初めて、この川が省の境界となっていて、橋の一方は四川省の九支鎮で、もう一方は貴州省の赤水市であることを知った。
橋を渡って貴州省の境界に入った。赤水市でバスを待っているときに、丙安へ帰省する一家に出会い、彼らに同行を勧められた。丙安は赤水市中部にあり、赤水市の市街地から12キロ離れていて、遵義から赤水への自動車道の幹線新線の西側にある。現在、赤水から習水までの道路が町の対岸を通過するので、半時間ほどで丙安新鎮に到着することができる。ところが10年前はここには道路が通じておらず、交通網が整備されるようになっても、幹線道路は丙安からは遠く、丙安はさびれていったが、それがために丙安には千年の歴史のある古い情緒が保存されてきた。新しく造られたつり橋のほかには、町までの水路は1本しかない。川を隔てて見えるものの、外界からの干渉が少ないため、町全体が基本的に明・清代の様子を保っている。車は町に入ることができず、外から運んできた荷物は人の手によって橋を経て運ぶしかない。地元の人は依然として竹かごを背負ってつり橋と市街を往来する。