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工場の外にある作業場では、数人の男性がヤシの実を殻と中身とに分けている。そこのヤシの実と殻と中身は色の違いごとに3つの山に分けられていて、ヤシの木を囲むように置いてあるのは、成熟したヤシの実で、灰色をしていて、中身は濃い褐色で、半分赤く、半分灰色の切り開かれた殻が置かれている。これらの作業は見たところ簡単そうだが、実際は容易ではない。彼らが使う唯一の道具はなたで、ヤシの実に力を込めて切先を押しこみ、全身の力をこめてその刃を押し下げることで、ようやく堅いヤシの実の殻に刃が通る。さらに、その割れ口にさまざまな角度から何度も刀を入れて、こじ開けることで、殻がようやくすべて割れる。この技に彼らの生活がかかっていて、力と経験がものをいう。
ヤシは全体が宝である。ヤシの実の殻は硬く、冷やしたり熱したりしても変形しない。割られたヤシの殻はヤシ繊維、活性炭、楽器になり、ヤシのさねからはヤシ彫刻が作られる。ヤシの木は硬く、木目が美しく、家具や建築材料としても使える。ヤシの葉を編むと、日常生活用品ができる。日常の燃料としても使われる。ヤシの花の汁から、ヤシ花酒や砂糖を作ることができる。ヤシ油は主に工業用油で、石鹸を作るためのすぐれた原料となり、化粧石鹸や歯磨き粉が作れられる。
ココナッツジュースの効能はよく知られているが、地元の人が日常使える秘訣を教えてくれた。一つはヤシの実の保存時間が長ければ、その汁は少なくなるので、汁の量によってその古さを判断できること。もう一つは自家製ココナッツミルクの作り方。ヤシの果肉をお湯の中に入れ、たたきつぶしてからガーゼで濾過し、ねばねばしたミルク状の液体を取って、加熱消毒すれば、飲用できる。料理が好きな人は自分で作ったココナッツミルクでスープなどを作るのもいいだろ
ヤシ林の中に、小さな池がある。水面には厚い茶褐色のヤシの繊維が漂っている。40歳すぎの男が2人、その傍らで働いている。その1人によると、彼らはヤシの殻から天然のヤシ繊維をとっているのだという。それはベッドのマットレス加工工場へ材料として売られている。ソファー、車の敷物、絨毯、ほうき、ブラシ、ロープなどをこれらから作ることができる。この洗うことができ、通気性がよく、丈夫で無害の純天然素材である。
ベッドのマットレスは「硬い繊維」と「柔かい繊維」2種類に分けられ、技術革新の前には硬いものを多く生産していた。それは、ヤシの繊維を分離したのち、まず金網でふるい分け、さらに機械によって、繊維を曲げ、立体の網状構造に編みあげ、天然の接着剤を配合して、押し延べて形をつくりあげたものである。柔かい繊維は弾性のある繊維で、さらに多くの手間がかかる。おもに三次元立体網目構造をさらに密にして、音を発しにくい純天然の植物繊維スプリングをつくる。それ、一平方メートルあたり数万個の換気穴があり、通気性がよく、湿度の影響を受けないが、制作費は高い。これらの天然制品は冬に暖かく、夏に涼しく通気性に優れるため、人工合成制品よりも大いに優れている。
文昌の街中に帰って夕食をすませた。地元名物のココナッツもち米ご飯は、もち米、ココナッツの果肉、ココナッツジュース、ハムやイカなどを一緒に蒸したものである。ご飯はヤシの殻に入れて運ばれてきて、その蓋を開けると、さわやかな香りがただよい、忘れ難いものだった。